コロナ下の那覇市議選 投票率アップへ戦術に工夫 立候補予定者「支持拡大、量より質」


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那覇市選挙管理委員会が児童を通して配布した、投票を呼び掛けるちらし

 7月4日の告示まで1週間となった那覇市議選(同11日投開票)は、新型コロナウイルス緊急事態宣言の中で実施される。密を避けるため、立候補予定者は総決起大会を自粛するなど選挙戦術の見直しを迫られている。那覇市選挙管理委員会も、投票呼び掛けの街頭活動を見直すなど感染防止に気を配る中で、投票率アップに向けた新たな取り組みを試している。

 ある現職市議は「事務所開きもできていないし、総決起大会もできない。大会を開かないから票読みも難しいだろう」と、経験したことのない選挙戦を前に戸惑いを隠せずにいる。

 別の立候補予定者も総決起大会はせず、少人数の支持者と面談を重ねていく予定だ。「不特定多数に支持を訴えるのではなく、支持者をしっかりと固める。それでも正直、票が集まるか心配だ」と語る。

 特に知名度を浸透させたい新人にとって、選挙運動の制約をどう乗り越えていくかが課題となる。初めての出馬に向けた準備を進める立候補予定者は「人を集められない分、電話でのPRに力を入れる。質を重視して、政策などをしっかり電話を活用して浸透させていきたい」と意気込む。会員制交流サイト(SNS)を積極的に活用する動きも見られる。

 2017年の前回市議選の投票率は51・20%で過去最低だった。今回は緊急事態宣言下で実施されることで、さらなる投票率低下を懸念する声もある。

 市選管は、投開票日前日にパレットくもじ前で投票を呼び掛けるティッシュ配布を予定していたが、密を避けるために中止を決めた。一方で、新たな取り組みとして、投票率が低い傾向にある地域の2小学校に依頼し、市議選を周知するチラシを各学級で配布してもらった。児童を通して保護者に投票を呼び掛ける狙いだ。

 選挙啓発のために告示後の7月5~10日に市内を巡回する選管車両も、音声テープを従来の大人の声から子どもの声に切り替える。「子どもが大人に呼び掛けることで投票率が上がるのではないか」という期待もあるという。

 市選管は「私たちが暮らす地域の代表を決める選挙だ。大切な一票を投じてほしい」としている。

 (伊佐尚記、照屋大哲)