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母と恩納村で「笹桐庵」を運営 フリーアナウンサー・桐田咲智代さん<県人ネットワーク>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 いつか沖縄で仕事をしたいと考えていた。2019年に、日本文化体験施設「笹桐庵」(恩納村)を運営する「美ら咲」を設立した。フリーアナウンサーの仕事もしながら東京と沖縄を行き来し、茶道師範の母・桐田園子さんと共に沖縄の観光産業を支える。

 東京都出身だが、母園子さんが名護市出身で沖縄にルーツを持つ。祖父は「渡口万年筆店」を創業した渡口三兄弟の次男、渡口彦一さん。「毎年夏には沖縄に連れて行ってもらい、おじいやおばあにかわいがってもらった。その頃からずっと私のマブイは沖縄にある」と振り返る。

 体操選手の山崎浩子さんに憧れ、小中高は新体操に打ち込んだ。全国中学校選手権大会で優勝、インターハイで2位の成績を残した。「新体操で不屈の精神を培った。目標のために頑張れる原動力になっている」と、柔らかい物腰にも意志の強さがのぞく。

 大学を卒業した1999年に、札幌テレビ放送にアナウンサーとして入社。退社後はフリーとなり、報道情報番組のキャスターやRBCiラジオでパーソナリティーなどを務めてきた。

 キャリアコンサルタントの国家資格も取得して就職支援も行うほか、経験を生かした新体操の実況はライフワークになっている。

 国内外の観光客をターゲットにした「笹桐庵」では、日本の伝統文化の茶道、華道、書道が体験できる。日本文化に琉球文化の要素も取り入れた、“和琉”を大切にしている。「特に海外の観光客は、伝統文化を通して日本人の精神を知りたいという人が多い」とニーズを見込む。

 今年5月、東京沖縄県人会の理事に就任した。大学生の頃から母親に連れられ、県人会の集まりに参加してきた。「一期一会の出会いから、人と人がつながり、輪と和が生まれる。置かれた場所で花を咲かせていきたい」


 きりた・さちよ 1977年生まれ、東京都出身。新体操の伝統校・藤村女子高校卒業後に東海大学に進学。卒業後は札幌テレビ放送アナウンサー、「TOKYO MX TV」のキャスター、「CSスカイA」の新体操番組のMCを務めた。キャリアコンサルタントとしても活躍する。