母の願い次世代へ 故安里さんの沖縄戦体験語る 学童が平和おはなし会


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「しまぶく学童クラブ」の「平和をつなぐ・おはなし会」で家系図から沖縄戦で亡くなった家族を紹介する比嘉佐智子さん=6月21日、北中城村喜舎場のしまぶく学童クラブ

 【北中城】北中城村喜舎場にある「しまぶく学童クラブ」(神田慎也代表理事)は6月21日、慰霊の日に向けた平和学習「平和をつなぐ・おはなし会」を同所で開いた。1~6年生の児童61人が参加した。約40年にわたり沖縄戦の語り部として活動し、2020年に99歳で亡くなった安里要江さんの次女・比嘉佐智子さんが安里さんの体験を語った。講師の中村初子さん作で、安里さんの体験を基にした絵本「のりひで」の読み語りもあった。

 比嘉さんは「母(安里さん)は生前、『(亡くなった長男の)宣秀(のりひで)が戦争の悲惨さを語ってくれる』と話していた」とその思いを代弁した。安里さんは沖縄戦で、和子さん、宣秀さんの2人の子どもを含め、親族11人を亡くした。

 1981年から語り部の活動を始め、約40年にわたって戦争の悲惨さを訴えてきた。自身の体験を基にした著書「沖縄戦・ある母の記録」は、映画「GAMA 月桃の花」の原作となった。

 比嘉さんは、先祖のトートーメーや拝む際に発する「ウートートー」について説明し、児童全員で戦没者への追悼と平和を願った。

 受講したリーダー支援員で、北中城村立島袋小学校6年の新野凛人さんは「残酷でたくさんの人が死んで悲しみや苦しみがあったから、二度と戦争が起こらないようにしたい」と感想を述べた。
 (喜納高宏通信員)