沖縄県議会代表・一般質問を振り返る コロナ対策に質問集中


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 沖縄県議会6月定例会は1日、6日間の代表・一般質問の日程を終えた。全国で唯一、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ「緊急事態宣言」が発令される中、県の感染症対策の在り方や、ワクチン接種の推進に関して与野党から質問が集中した。野党は県の感染症対策の不備を繰り返し指摘し、玉城デニー知事ら執行部の責任を追及する姿勢を先鋭化させた。

 照屋守之氏(沖縄・自民)の6月30日の一般質問で、県立中部病院でクラスター(感染者集団)によって、50人が感染したことが明らかとなった。野党は、5月末に発生し、1カ月以上公表されなかったことを問題視し「隠蔽(いんぺい)だ」と指摘。同問題は県議会内で与野党対立の新たな火種となる可能性を帯びている。

 6月15日の定例会開会直前に、うるま市津堅島の米軍ヘリ不時着事故、米陸軍施設からの消火用水流出事故などが相次いで起こった。国会では基地周辺などの土地取引を制限する土地利用規制法が成立。与党側は米軍基地から派生する問題への、県としての姿勢を問う質問も多く上がった。

 県が日本復帰50年に向けた政府要請で、在日米軍専用施設を全国比で「50%以下」にするとの目標を掲げていることにも、与野党から質疑が上がった。県は返還対象となり得る施設として北部訓練場、伊江島補助飛行場、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンの4施設の訓練区域などを挙げた。仲里全孝氏(沖縄・自民)への答弁。

 玉城武光氏(共産)の一般質問で、米軍訓練空域・水域について、玉城知事は「返還を求めていくことが筋だろう」と言及。訓練区域や利用していない土地が多い施設の返還を求めることで、目標値に近づけるという県の狙いの一端も垣間見えた。
 照屋大河氏(てぃーだ平和ネット)の代表質問に対し、玉城知事はヘイトスピーチ(憎悪表現)を規制する条例の制定に前向きに取り組む考えを表明した。定例会にも陳情が提出されており、制定に向けた議論が本格化するのかも焦点となっている。
 (池田哲平)