中部病院クラスター公表遅れ、6月10日に副知事に報告 県「会見止める意図なかった」


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会見の冒頭で謝罪する県病院事業局の我那覇仁局長(右から2人目)ら=2日午後、県庁

 うるま市の沖縄県立中部病院で発生した新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)の公表が遅れた問題で、県病院事業局の我那覇仁局長と同院の玉城和光院長らが2日、県庁で記者会見を開いた。我那覇局長は6月10日、中部病院の診療制限と感染者数(6月8日時点の41人)を記載した資料を謝花喜一郎副知事に提出したと説明した。県立病院で50人余りの集団感染が起きた深刻な事実について、玉城デニー知事ら県三役にどの程度情報が共有されていたのかについては、曖昧な部分も残されている。

 2日の記者会見で我那覇局長は当初、中部病院が6月11日に会見を予定していることや診療制限、感染者数と死亡者数について、謝花副知事に6月10日の時点で報告したと説明した。その後、自身の会見での発言を訂正した。秘書を通して謝花副知事に報告したのは中部病院の診療制限に関する内容で、院内感染者数(6月8日時点の41人)は含まれていたが、会見予定について記載がなかった。

 玉城院長が1日に、病院事業局の指示でクラスター発生を公表する会見が取りやめになったと説明したことについて、我那覇局長は認識の齟齬(そご)があったとして「会見を止める意図はなかった。コミュニケーションが十分でなく、共通認識が持てていなかったことが大きな原因だ」と釈明した。

 我那覇局長は「県民や関係各位に多大なご心配とご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げる」と謝罪。会見に先立って県内の県立病院長でつくる病院長会議を開催し、クラスター発生時の公表基準を作成したと説明した。今後は病院内でクラスターが確認された場合、県保健医療部が記者説明で病院名や感染者数などを発表し、病院のホームページに記載するとした。

 会見に同席した玉城院長は、県側との認識の不一致が解消されたとの考えを示した。公表基準がまとまったことについて「病院側としては、感染が大きくなる前に公表できる体制なら、今後のことを考えて一番いいと思い納得した」と述べた。