市民がデジタル技術などを生かして行政サービス向上や地域の課題解決につなげる「シビックテック」を深化させたい―。那覇市議選の選挙ポスター掲示場の詳細な位置情報をオープンデータ化したウェブエンジニアの大田小波さん(26)=沖縄市=は「政治や行政はプロセスや情報をオープンにすべきだ」と話す。利用可能なあらゆる自治体情報などのオープンデータ化を願う。
生まれた時からインターネットが身近にあるデジタルネーティブ世代。子どもの頃、母親が販売していた服をネットオークションに出品したことをきっかけにネットにのめり込んだ。
2019年にはファッション、音楽、アート、ダンスなどジャンルを超えたクリエーター団体「zele+(ゼルプラス)」の代表を務めイベントを開いた。資金集めに利用したクラウドファンディングのプロジェクトページに掲載された写真でも、大田さんはパソコンを抱えていた。
今ではネット関連企業で働きながら、シビックテックに取り組む。県が策定を進める22年度からの次期沖縄振興振計を市民目線で考えようと有志が立ち上げた「沖縄未来提案プロジェクト」に参加し、沖縄の歴史や課題についても学び合う。さらに、県内企業が進める持続可能な開発目標(SDGs)の企画にも協力する予定だという。
そんな大田さんが憧れるのは台湾のデジタル担当相オードリー・タンさん。タンさんは入閣前からシビックテックの担い手「シビックハッカー」が集まった「g0v(零時政府=ガヴゼロ)」に参加していた。コロナ禍で、タンさんが中心となって開発した「マスクマップ」はマスクの在庫と身近な薬局のデータをまとめたことで可能になったたまものだ。
タンさんについて「政府の情報をオープンにして、民主主義を自分たちでつくり上げようとしている」と見る大田さん。パソコンを抱えて島を見つめる。