「沖縄の未来、全て泡に」米半導体の沖縄進出計画、元琉球政府関係者も証言「未来型産業」に政府の壁


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 自民党重鎮の細田博之元官房長官の証言により、復帰前、米半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)が沖縄への進出を計画していたことが明らかとなった。当時を知る元琉球政府関係者もTI進出計画の存在を認める。当時、通商産業省に内々に相談すると激しい反対に遭い、法人設立の申請さえできなかったと証言した。「沖縄の未来は全部つぶされ、泡となった」と残念がった。

 TIの進出計画は資料が残っておらず、研究者にも知られていない。日本復帰という歴史に埋もれていた計画が50年後に再び日の目を見た。

 元琉球政府関係者によると、復帰の数年前、TI側の弁護士が直接琉球政府を訪れ、進出を打診してきたという。当時、最先端の電子産業は「未来型産業」と呼ばれ、TIの進出計画以前から沖縄への誘致を求める議論があった。琉球政府の外資政策に関する諮問機関の委員は計画を聞き、歓迎。進出を強く推した。

 元琉球政府関係者は「通産省は当初、自由貿易地域内(那覇市西)での進出は許可すると言ってきたが、後に撤回した。当時、半導体産業は次の成長産業で、日本政府的には非常に微妙な業種だったのだろう。沖縄側の期待は強かったが、通産省の壁は厚かった」と振り返った。

(梅田正覚)