女性の権利獲得、地位向上 運動の記録つづる 沖教組女性部が50年史


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県教職員組合女性部の50年史をまとめた(右から)安次嶺美代子さん、安慶名つる子さん、知念智慧子さん、現女性部長の大嶺園子さん=那覇市の教育福祉会館

 沖縄県教職員組合(沖教組)女性部はこのほど、「沖教組 女性部50年の歩み―あなたがいて わたしが在る そして未来へ―」を発刊した。前身の沖縄教職員会婦人部が発足した1954年から半世紀の歩みを振り返り、男女間の賃金格差是正や産休・育休休暇の取得、男女混合名簿の導入など、多岐にわたる女性の権利取得や地位向上に力を入れてきた運動の記録を収めた。

 54年の婦人部結成時、最大の課題の一つに教員給与の男女間格差があった。日本本土では同一労働同一賃金の原則が保障されたが、米統治下の沖縄では、女性教師の給料は、男性教師より低いという戦前の給与体系が引き継がれた。産休制度も不十分で、54年の実態調査では、出産ぎりぎりまで働いた女性教師の流産事例も多く報告された。

 60年代に入っても続いた女性教師らの運動で給与格差は是正され、産前・産後の休暇期間も段階的に延長が実現していく。50年史の編集に関わった元沖教組婦人部長の知念智慧子さんは「今では当たり前に感じる制度も先輩の女性教師が知恵を出し、勝ち取ってきた権利だということを忘れてはいけない」と語った。

 50年史ではジェンダー教育についても取り上げた。中でも学校現場の男女混合名簿は、沖縄での導入が遅れ今に至る。元沖教組婦人部長の安次嶺美代子さんは「名簿を通じて『男が先』という考え方が内面化され、学校が男女差別を再生産する場になっていると強調してきた。そこを解き明かさないとジェンダーギャップは解消されない」と提起した。

 発行部数は700部で、県内市町村の学校や図書館、関係団体などに寄贈する。