「欠陥か」市道宜野湾11号、何度も冠水 国の肝いり、市が急ピッチで応急措置


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大雨で大量の水がマンホールから噴き出す宜野湾市の市道宜野湾11号=6月30日午後6時37分、市宜野湾

 【宜野湾】道路整備事業の着手から約42年の年月を経て、今年3月28日に全線供用が開始された宜野湾市の市道宜野湾11号。地域住民から利便性向上などで喜ばれる一方、市宜野湾の地点は水はけが悪く、大雨が降るたびに冠水して通行できなくなる。国の肝いりで市が急いで完成させた悲願の道路だが、集まる雨水の排水が間に合わない「欠陥道路」(市関係者)の印象は拭えない。

 沖縄本島地方が梅雨前線の影響を受けた6月30日午後6時半ごろ、周囲の音をかき消すほど大量の雨が11号に打ち付け始めると、約40センチの水たまりが瞬く間にできあがった。傍らで市職員らが排水対策を試みたが、効果はなかった。

 ■「頭が痛い問題」

 現時点で車の浸水被害の報告はないが、冠水するたびに道路の全面通行止めなどの支障が出ている。本紙は6月中、少なくとも6回の冠水を確認した。現場近くに住む農業の70代男性は「道は便利で完成してうれしいが、冠水すると遠回りせざるを得ない。何度も冠水するのは欠陥があるからだろう」と残念がった。
 冠水地点は傾斜があり、周辺から流れる水が集まりやすい地形になっている。近くにある直径1メートルの排水溝は周辺の土地より少々高い位置にあり、たまった水を直ちに集水できていない。道路完成時、市側は現在の排水溝で対応可能とみていたが、道路の供用開始後、市職員は道路が冠水するほどの水量を「想定外」だったとしている。排水溝周辺に草木が生い茂ることも水はけに影響し、さまざまな要因があるとしている。

 ■先月6回確認

 市議会6月定例会では、各議員から11号の冠水に質問が相次いだ。
 市は応急措置として、排水溝の周囲を削って低くしたり、道路上のマンホールを網状に変え排水機能を持たせたりしたが、根本的な解決にはつながっていない。
 市幹部は「11号は市民のため急ピッチで完成に取り組んだが、冠水の問題が出て頭が痛い」と漏らした。
 市は早期の対策を検討し、道路整備で補助を受けた沖縄防衛局と調整を進めている。来年度は仮設部分が残る周囲の排水溝整備にも取り組む予定だ。排水溝は隣接する米軍普天間飛行場へつながり、冠水対策は米軍側との調整も出てきそうだ。防衛局は取材に「市と協議し、当局としてどのような対応ができるか検討をしている」と答えた。
 (金良孝矢)