「旅行者へのPCR検査の義務化を」 医師ら、実効性向上求める


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到着口ロビーを歩く旅行客ら=8日午後、那覇空港

 年末年始や大型連休など県をまたぐ人の移動が活発化するたび、新型コロナウイルスの大規模な流行を経験してきた沖縄。水際対策の甘さが県内の感染拡大を引き起こしたとして、医師らは「水際対策がなされてこなかった国の責任は重い」と指摘する。PCR検査の義務化を求める専門家の声は根強く、県と業界を挙げて実効性を高める仕組みづくりが重要との指摘もある。

 県の専門家会議の委員で県立南部医療センター・こども医療センター感染症内科の成田雅医師は「沖縄に無症状、発症前の陽性者を入れない仕組みづくりが大事だ。希望者だけでなく全ての旅行者に検査する仕組みをつくらなければならない」と強調した。渡航前72時間以内の陰性確認やワクチン接種証明書をQRコードで読み込んで搭乗ゲートを通過する仕組みを提案し、いずれの証明書もない場合は空港の抗原検査で陰性を確認すべきだとした。

 成田医師は「沖縄が観光立県として存続するためには、検査の実効性を高める方法が必要だ。そうでなければ(人の移動が増えて感染が拡大する)同じことを繰り返すだろう」と指摘した。

 国は羽田などから沖縄へ向かう便の希望者に無料でPCR検査を実施する方針だが、群星沖縄臨床研修センターの徳田安春センター長は「たとえ無料でも、空港でまさに飛行機に乗ろうと予定を立てている人が、検査を希望するだろうか」と実効性を疑問視した。検査は「原則義務化しないといけない」と指摘。緊急事態宣言解除の可否は「水際対策に尽きるのでは」とし、国と航空業界、ホテルや観光業界が連携し、検査の義務付けを進めるべきだと強調した。