主体性を育む保育とは? 私保連那覇ブロック、食育を中心に実践内容を発表


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研究内容を発表するおおな愛児保育園の保育士ら=3日、那覇市の同園

 県内の保育施設230園が加盟する県私立保育園連盟は3日、那覇ブロック園内研究発表会を開き、市内三つの保育園が食育を通じた主体性を育む保育や子どもの咀嚼(そしゃく)、園内研修などそれぞれの実践内容を報告した。新型コロナウイルスの影響で初のオンライン開催となり、保育園関係者や学生ら約400人が参加。研修内容を学び合い、保育の質向上に向け理解を深めた。

 みやぎ原保育園は「主体性を育む保育~食育を通して」と題し報告。一斉に食べ始める食環境を見直し、食べる量を自分で決めるなど子どもの意思を尊重する指針を取り入れた。考察として「食べさせなくてはという思いがあったが、子どもにとって意味のあるものなのか考えさせられた。(食環境の見直しで)自ら食べてみよう、食べたいという姿に変わり、その後の成長につながっていると実感しつつある」と語った。

 今後の課題に全職員で子どもの主体性について学びを深めることや、年齢や発達に応じた食事マナーを知らせることなどを挙げた。

オンラインで開かれた県私立保育園連盟の那覇ブロック園内研究発表会=3日

 「子どもの咀嚼(そしゃく)力を促すために保育者ができること」をテーマに報告した、そよ風おもろ保育園は、離乳食を食べる乳児に咀嚼を促す方法について文献を基に整理した。子どもたちが楽しみながら、かつ咀嚼力を促すための具体的な援助方法を実践。子どもがスプーン一口の量を繰り返し食べて経験することで、適量の食べ物をかみ砕いて飲み込みやすくなり、誤嚥(ごえん)や窒息を防ぐ効果があった。「保育者が舌や口の発達に着目し、適切な離乳食の食形態で咀嚼を促す働き掛けができるようになると、子どもたちの咀嚼力につながると考える」と報告した。

 おおな愛児保育園は「園内研修を通しての学びと気づき」と題して発表した。保育の資質向上を図ろうと月に一度園内研修を行い、理論や実践を学んだほか、保育者の悩みを共有し改善につなげた。本の読み合わせを行い、子どもに伝わりやすい話し方などを確認したほか、保育者の語彙(ごい)を増やそうと普段子どもたちにかける「すごい」「上手」以外の表現を話し合った。園内研修を通じ「意見を出し合うことができ、職員の気づきや学び、悩みなどが以前よりも共有できてきた」と述べた。

 参加した東洋大の高山静子教授からの講評や、保育者による実践研究の意義を伝える講話もあった。