「尖閣中国船は国際法違反」防衛白書で明記　岸防衛相、巻頭言でも警戒感

　【東京】岸信夫防衛相は１３日午前の閣議で、２０２１年版防衛白書を報告した。沖縄に関する記述では、石垣市の尖閣諸島周辺の日本の領海内で「独自の主張をする中国海警船の活動はそもそも国際法違反」だと明記するなど、中国への警戒感が強く打ち出された。

　尖閣諸島については「歴史的にも国際法上も一貫してわが国の領土」とするコラムを設けるなど、手厚く扱った。

　２月に施行された中国海警法については「曖昧な適用海域や武器使用権限など、国際法との整合性の観点から問題がある規定が含まれている」と懸念を示した。

　また、米中の２国間関係を紹介する節を新設。「今後、さまざまな分野において、米中の戦略的競争が一層顕在化していくとみられる」との認識を示し、米中対立が強まるとの見方を示した。

　巻頭言で岸氏は「強権をもって秩序を変えようとする者があれば断固としてこれに反対していかなければならない」とし、覇権主義を強める中国を念頭に強い警戒感を示した。

　一方、沖縄における在日米軍駐留の意義として「インド太平洋地域の平和と安定に大きく寄与している」と記述し、「アジア太平洋地域の平和ー」としていた前年版から地域表現を変えた。「自由で開かれたインド太平洋」という政府の外交政策を反映し、在沖米軍の対中国包囲網との位置付けが強まった形だ。