米軍関係者の事件8割が不起訴に 日本国内の刑法犯「優遇」浮き彫り 20年・日本平和委調べ


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 2020年に日本国内で発生した米軍関係者(米兵、軍属、家族)による一般刑法犯の起訴率が15%にとどまり、8割以上が不起訴になっていることが日本平和委員会のまとめで分かった。同委員会は、20年の日本全体の一般刑法犯起訴率は37.5%であるとし、「日米間の密約に基づき、米軍関係者が優遇されている実態が浮き彫りになった」と指摘している。

 同委員会は法務省に情報公開請求して入手した「2020年合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」を基に集計した。米兵などの過失運転致死傷などを除いた一般刑法犯73件のうち、起訴は11件、不起訴が62件だった。強制わいせつ、過失致死傷、詐欺、横領、公務執行妨害、毀棄(きき)隠匿事案はすべて不起訴となっていた。

 日米地位協定は在日米軍関係者の事件について、「公務中」の場合は米側、それ以外は日本側に一次裁判権があることを規定している。一方、1953年の日米合同委員会で「実質的に重要と考えられる事件」以外については、日本側が一次裁判権を行使しない方針を米側に約束していた。

 日本平和委員会は2000年から米軍関係者の起訴率をまとめており、起訴率はおおむね同水準で推移しているという。同委員会は「低い起訴率に、日本政府が現在も密約を実効していることが表れている」とし、一次裁判権にかかる密約の撤回と、米軍関係者が絡む事件を通常の事件同様に処理することを求めている。