「何度弾いても答えがない」琉球箏曲の担い手 池間北斗さん


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日本伝統文化振興財団賞を受賞した池間北斗

 伝統芸能分野で将来一層の活躍が期待される優秀なアーティストに贈られる第25回日本伝統文化振興財団賞にこのほど、琉球伝統箏曲琉絃会師範の池間北斗が選ばれた。箏曲を次代に伝える旗手として期待される池間に、これまでの箏曲との向き合い方や今後の目標を聞いた。(聞き手・藤村謙吾)

 Q:又吉貞子に師事し、国立劇場おきなわの第1期組踊研修生として宮城文、県立芸大で宮里秀明に箏曲を教わった。

 「又吉先生には大切な基礎を学び、宮城先生からは組踊の技法、宮里先生には高度な箏曲の弾き方を中心に、三者三様、箏曲の手法を習った」

 Q:賢順記念全国箏曲コンクールで1位になった際に演奏した「千鳥」など、箏曲の編曲や創作でも才能を発揮する。最初に手掛けた曲は何か、またこつはあるのか。

 「最初は芸大4年の学内演奏会で編曲した。7月だったので『織姫』と名付け、箏三重奏のための器楽曲という感じで、童歌を並べた。琉球箏曲や生田流箏曲など箏曲に限らず、JポップやYouTubeで耳にした音楽など広く楽曲を聴き、ヒントにしている」

 Q:琉球箏曲の魅力は何か

 「琉球箏曲は現代的な曲にも古典的な曲にも当てはめることができるのが強みだ。琉球古典箏曲として残されてきたものの魅力に加えて、可能性に満ちあふれている」

 Q:どのように今後箏曲と向き合っていきたいか。

 「箏曲でさまざまな方向に挑戦できるのは、自分の大本に琉球古典箏曲があるからだ。新しい曲に挑戦した後、古典作品と向き合うと、早く弾くよりも、一音一音深く音を出す方が難しいことに気付かされる。古典は何度弾いても答えがなく、奥深い。組踊研修の一期生をはじめ、先輩に引っ張ってもらい、先生方に多くの経験をさせてもらって今があると思う。感謝を胸に、後進に恥じない存在になれるよう、一つ一つの舞台に真剣に向き合っていきたい」