手作りのアダン帽子に魅せられて 伊江島の工房「Kot’oli」自然素材生かした小物も販売


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地元の編み手の帽子、自作の帽子を紹介する屋嘉比りささん=4日、伊江村東江前区の工房Kot’oli(ことり)

 【伊江】伊江村東江前区の馬場通りに面した瓦屋(かわらや)、三角屋根の白い家で屋嘉比りささんは工房を構えている。地元の編み手が丹精込めて編んだアダン葉帽子の他に、クバの葉で作った籠などの民芸品が工房に並ぶ。中でも、伝統的な琉球パナマ帽の技法で編まれた帽子は工房を構えるきっかけとなった。

 屋嘉比さんは植物の持つ癒やし効果やパワーに魅了され、3年前から「Kot’oli(ことり)」という作家名で、アダン葉や月桃など島に自生している自然の素材を生かした帽子や小物、アクセサリーなどを製作している。

 アダン葉帽子の虜(とりこ)になったのは5年前。「ボーシクマー講師の糸数弓子先生(宜野湾市在住)に出会い、技術もさることながら先人たちの知恵や思いなど大切なもの全てを伝授してもらった」と振り返る。地域に根差した自然素材を使った作品や民芸品は、その土地の暮らしや歴史の詰まったつつましくて優しく、味わいの深いものになるという。

 戦後、消えかけた島の宝物、アダン葉帽子。編み手は今や県内各地にいるが「地元、伊江島に残っていた琉球式技法のアダン葉帽子を『私は私にできること』として仲間とともに丁寧に伝え、発信し広げていきたい。その拠点になればと思う」と熱く語った。

 自作の作品の他に島の手仕事仲間の作品も並べたいと考えている。「自然素材を使ったワークショップを楽しんだり、島人が講師となってみそを作ったり、地域に根差した伊江島ならではのワークショップなども開催したい」と夢は広がる。

 Kot’oli(ことり)という作家名は、クリキンディというハチドリが主人公の絵本「ハチドリのひとしずく」に由来している。「私は私のできることをしているだけ」というクリキンディの言葉が心に残り「Kot’oli(ことり)」とした。
 (知念光江通信員)