総決起大会もオンラインで コロナ下の那覇市議選  当選者「日々の活動が重要に」


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自宅と選挙カーのテレビをつないで街頭演説をする奥間綾乃さん=6日、那覇市内

 緊急事態宣言下で実施された11日投開票の那覇市議会議員選挙は、各陣営が総決起大会を自粛したり、新型コロナウイルスに感染した候補者が遠隔で演説をしたりと、従来とは異なる選挙戦が展開された。多くの人に会う選挙戦術を見直したことで、かえって市民から好感を得られたという当選者もいた。別の当選者は「選挙の時だけでなく日々の活動をどれだけ広報できるが重要だ」と振り返った。

 トップ当選の奥間亮さん(34)は密を避けるため、選挙事務所への支援者らの出入りを制限し、政策ビラなどを準備する作業部屋として活用した。スタッフ同士の感染を懸念し、選挙カーによる活動もやめた。出発式や打ち上げ式を中止し、総決起大会の代わりに街頭演説は1回だけだった。「市民は我慢が続いている。議員が見本にならないといけない」と語る。

 運動の見直しを知った市民から「投票するよ」と声を掛けられ、好感触を得たという。これまでにない戦術に不安もあったが「プラスだった」と振り返った。

 

オンライン総決起大会でカメラに向かって話す吉嶺努さん(左)=6月30日、那覇市寄宮

 候補者自身が感染した事例もあった。奥間綾乃さん(43)は1日に新型コロナの陽性が判明した。4日告示だったが、那覇市保健所や県の指示で、8日まで自宅療養した。「自分で政策を訴えたい」との思いから、オンライン会議システム「ズーム」を活用し、自宅のパソコンと選挙カーのテレビをつないで街頭演説をした。療養期間が明け、9日から遊説を始めた。12日未明に当選確実の知らせに涙を流した。

 綾乃さんは「自分なりの訴えはできた」としつつ、一日も早くコロナが収束し「市民と顔を合わせ、握手し、訴え掛けられるこれまでの選挙戦ができる日が来てほしい」と望んだ。

 再選した吉嶺努さん(44)も総決起大会をオンラインに切り替えた。「コロナ禍を機に、人を集めてお願いするなどの選挙スタイルは変わっていくのではないか」と見る。その上で「選挙の時だけでなく、日頃から日々の活動をどれだけ市民に広報できるかが大事だ」と指摘した。

(照屋大哲、伊佐尚記)