旧知念村の人口、合併後970人減少「陸の孤島になるかも」


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佐敷支店に統合され閉店したJAおきなわ知念支店。地元住民の買い物が不便になり、人口減につながらないか心配される=6月25日、南城市知念久手堅

 【南城】2005年12月末の4町村合併直前は4万759人だった南城市の人口が、今年5月末で4520人増の4万5279人に達した。喜びの声が上がる一方で、旧知念村は約970人減少した。地元では「陸の孤島になってしまうのではないか」と心配されている。

 南城市は06年1月に旧佐敷町、大里村、玉城村、知念村が合併して誕生した。合併から15年たち、最も人口が増えたエリアは、旧大里村。約3400人増え1万5665人となった。交通網に恵まれていることが要因として考えられる。100人以上増えた集落が7カ所もあり4町村で最も市の人口を底上げした。

 次に増えたのが旧玉城村で約10%増。特に那覇市寄りの船越区や隣集落の愛地区の伸びが目立っている。

 旧佐敷町は5月末で1万1155人で、合併前と比べ、つきしろ区の旧佐敷町区域を除き微増となった。

 4町村の中で唯一減少したのが旧知念村。元々人口が最も少なかったが、つきしろ区の旧知念村区域を含め968人減少して4803人となった。

 旧知念村では比較的大きな集落の商店が店じまいし、住民は不便を感じてきた。追い打ちをかけるように旧村内唯一のスーパーだったJAおきなわ知念支店が、今年5月に佐敷支店に統合され閉店した。

 知念支店近くに住む80代の女性は「うちは子どもたちが買い物を手伝ってくれるが、年寄りだけの家庭は不安だと思う。暮らしやすい地域づくりに取り組むことが重要だ。若者が生まれ故郷を離れないよう、交通網の整備や、世界遺産の斎場御嶽の入場料を地域活性化に生かすことはできないか」と指摘。児童らも登下校で使う、市内を走るコミュニティーバス「Nバス」の時間帯を増やすことを提案し、人口減に歯止めをかける対策を求めた。

 農協OBたちからの要望に応えて、商店の開店の話も出ているという。
 (知花幸栄通信員)