人気のハブショーも「改革」 おきなわワールドがコロナ禍で進めた価値再構築


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沖縄の伝統文化について説明するガイドスタッフ=16日、南城市玉城のおきなわワールド文化王国・玉泉洞

 おきなわワールド文化王国・玉泉洞(南城市)は、旅行需要の変化に対応するため園内の新たな仕掛けづくりに取り組んでいる。入場者数の拡大を成果指標とするのではなく、施設の見せ方を工夫して体験価値を高め、来園者個々の滞在時間や満足度を高めるのが目指す方向性だ。施設を運営する南都の大城宗直社長は「観光黄金時代を歩んできた中で、どう変化していけばいいのか悩んでいた。(コロナ禍の)2020年が分岐点となった」と話す。

 5月に新型コロナウイルス緊急事態宣言が発令されてから完全休園したが、今月16日に週末のみ営業を再開した。

 現在は入場時間を20分ごとに区切り、1回につき入場者を20人ほどに制限する。混雑を避けて園内をゆっくり観覧できるようになった。密回避のため、人気のハブのショーは屋内から屋外に切り替え、可動式のステージを新たに整備した。

 ターゲットは主に個人旅行に絞り込む。近年の旅行形態が団体型から個人型に変化しているほか、新型コロナの影響で当面は団体客が見込めないことがある。

 料金体系も一新した。入園料はこれまでエリアに応じて3パターンに分けていたが、2千円に一本化した。新たに設けた県民割りは半額の千円とした。

 入園料は300円ほど値上げとなったが、園内の魅力がより伝わるようにと新たにガイドチームを編成した。園内の各ポイントにガイドを配置し、鍾乳洞や植物などへの理解を深めることができる。

 古民家が並ぶエリアでは琉装をまとって散策できるサービスも始めた。これまでは出口付近で写真撮影するだけだった。琉装姿の人が歩くことで沖縄らしい雰囲気を体験でき、客自身がスマートフォンで好きな写真を撮れるようにするなど、滞在時間をより長く楽しんでもらう。

 大城社長は「せかせかと見学するのではなくいかに時間を取ってもらうかが勝負だ。コロナ前までは忙しすぎて数をこなすだけだった。来園者としっかりと向き合って自然や文化、工芸の価値を伝えたい」と話した。
 (中村優希)