行楽客続々…感染を懸念する沖縄の世界遺産候補地 地元「来訪自粛を」


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ゴールデンウイーク中に車で混雑する国頭村の海岸付近。手前の車は地元農家が使う道にはみ出している=5月2日、国頭村内(桃原区提供)※一部加工しています

 【北部】都市部に比べて医療基盤が乏しい国頭、大宜味、東のやんばる3村は新型コロナウイルス感染拡大に危機感を募らせ、7月下旬の大型連休を前に海浜などの利用の自粛を強く求めている。今年5月の大型連休中、国頭村にはレジャー客などが多く訪れた。7月下旬には世界自然遺産の登録も控え、観光客の増加を見込む。地域住民は感染拡大への懸念に加え、行楽客による混雑など日常生活への支障を訴えている。

 3村は17日までに、キャンプなどのレジャー客が多く訪れる場所に利用の自粛を呼び掛ける看板を設置し、一部施設の閉鎖などを実施した。

 東村の當山全伸村長は「感染者ゼロを維持したい」、大宜味村の宮城功光村長は「自然遺産登録後に多くの人が訪れてもらいたいが、そのためにも今は自粛をしてほしい」とそれぞれ理解を求めた。

 「利用禁止にご協力ください」。国頭村は辺土名、桃原付近の海岸入口に、複数の看板を設置して、キャンプやバーベキューの自粛を求めた。海岸に整備されたシャワーは止水し、使用できないようにした。

 桃原区の金城勝也区長は「(4、5月の)大型連休中は特に人が多く、感染が心配だった」と振り返った。インターネットで検索すると、「無料シャワー&トイレ完備の穴場」、「キャンプも自由な天然プライベートビーチ」などと同海岸を紹介する情報が出てくる。

 コロナ禍に伴い県境をまたぐ旅行が下火となった代わりに、近年は近場で楽しめるキャンプも沖縄で人気となっている。金城区長は「ここ数年で来訪者が増えた。SNSなどで口コミが広がったからではないか」との見方を示した。

 一部利用者によるマナーの悪さも悩みの種だ。海岸近くで農業を営む70代男性は「畑の前に路駐もされた」と農作業に支障が出ると憤った。

 桃原区によると、海岸につながる農道には、行楽客による路駐が相次ぎ、地元住民の往来に支障が出ているという。男性は「ペットボトルや食べ残しも投棄されていた。ゴミは落ちるが地元に金が落ちる訳ではない」と嘆いた。

 知花靖国頭村長は「一部レジャー客によるマナーの悪さが指摘されている。今後もさらにキャンプ客が増えるだろう。マナーを守るよう呼び掛け、シャワー設備の有料化を検討するなど対策したい」と話した。

 (長嶺晃太朗)