「希望持てる舞台作る」流派超えた研究も大切 沖縄芸能連盟新会長 金城美枝子氏に聞く


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沖縄芸能連盟の金城美枝子新会長=7日、那覇市の琉球新報ホール

 芸能実演家でつくる沖縄芸能連盟は7日、那覇市の琉球新報ホールで2021年度定期総会を開き、金城美枝子が会長に就任した。音楽団体の役員改選に伴い、崎山文子、親泊ナミが副会長に新任された。前会長の安里ヒロ子と、野里葉子は相談役になった。金城は姉の谷田嘉子と玉城流扇寿会の家元を務め、沖縄と道場がある愛知県名古屋市を行き来して、後進の育成に取り組んでいる。金城に抱負を聞いた。(聞き手・藤村謙吾)

Q.名古屋に琉球舞踊を根付かせた。名古屋では教える際に何に気をつけているのか。

 「古典を中心に教えている。ただ、特に歌について沖縄の人には見なり聞きなりで身に付いていることが、本土の人にはない。言葉の意味から教えている。一から丁寧に育てると、踊りに沖縄の匂いや色も出せる舞踊家が育つのではと思っている。沖縄に負けない舞踊家を育てることが目標だ」

Q.芸能連盟でどのような取り組みをしたいか。

 「コンクールで最高賞を受賞した後が大切。受賞した人が『さらに自分の出られる場所がある』と、希望を持ってどんどん前に進んでいける舞台を作りたい」

Q.琉舞から人間国宝が誕生した。

 「喜ばしいことで、芸の道が明るくなった。若い人も希望が湧いたと思う」

Q.会長としての意気込みを。

 「これまでは、自分の研究所の生徒を教えることに一生懸命で、他の先生方の生徒を触る(直接教える)ことはあまりなかったが、伝えられるものは伝えていきたい」

 「私と姉(谷田)は、初代玉城盛義先生が亡くなった後、最初は他の先生方の踊りを見て研究をしたが、見て研究するのと直接教わりながら研究するのとでは全然違う。例えば、真境名佳子先生の古典を見ていて、どうしても悟れないところがあり、姉と真境名先生に直接教えを請いにいった。真境名先生は『この踊りの手はここまでは何センチ』と踊りの流れをきっちり決められていて、実際に触ってもらって多くの疑問が解けた。盛義先生に教わったものと合わせて、さらに奥の芸が見えた気がした。今でも姉と教わったことを振り返り『こう踊らないと理由が通らないんだよね』と確認し合い、弟子に教えている」

Q.独特の間を持ち、テンポの早い舞踊における沖縄一の名手とされた伊舎堂正子にも教わった。

 「雑踊などにある沖縄の泥臭さ、独特の匂いは昔の先生じゃないと出せない。いかに観客の中に飛び込んでいけるかが雑踊だと思っている。それらの方法を悟らせてくれたのが伊舎堂先生だった」

Q.中堅・若手の会員に伝えたいことは。

 「良いと思ったものは流派が違っていても、習ってみてほしい。習って始めて自分の踊りと違うところや、いい点、悪い点に気付き、自分のものにできる。芸能連盟には多くの先生がいらっしゃる。その方たちの踊りを見て、習い、芸を高めてほしい」