コロナ後遺症 戻らぬ日常 けん怠感、しびれ、吐き気…症状さまざま 半年以上続く人も


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 新型コロナウイルスに感染し、治療を終えた後もけん怠感や手のしびれなどさまざまな症状が続く「コロナ後遺症」。厚労省も後遺障害に関する実態調査(中等症以上対象)の中間集計報告で、疲労感や息苦しさ、筋力低下などが診断から6カ月後でも認められると発表した。県内では流行第5波の影響で中年や若年の中等症の患者が急増しているが、後遺症は病状の軽重に限らず、さまざまな症状があるという。

 本島中部に住む50代女性は息子夫婦や孫から新型コロナに感染、5月下旬に入院した。発熱と息苦しさで、一時は集中治療室に入ったという。病状の苦しさに加えて常に不眠にも悩まされ「入院中のことは思い出したくない」出来事になった。退院後、ようやく日常に戻れると思ったが、けん怠感が抜けなかった。さらに筋肉がこわばり、左足のしびれや、歩く時に重心がずれているかのようにふらつくという。そのため車の運転は控え、移動はバスを利用するようになった。

 「発症しただけで『まさか自分が』という感じなのに、こんな後遺症が続くなんて…」。今は人混みを避け、マスクをしていない人を見ると不安になるという。感染力の強いデルタ株の流行に「発症した人は免疫が付くというけど、100%じゃない。こんな苦しみは二度といや」と、再感染を恐れている。

 県内在住の40代男性は、看護師としてコロナ患者に対応する中で6月中旬に感染した。職場は感染防止策を徹底し、自宅では仕事着を洗う別の洗濯機を購入するほど気を遣った。ワクチンは2回目を接種する直前だった。

 幸い、軽症だったため約2週間ほどで退院したが、微熱と吐き気に加えて、両手のしびれで握った物を落とすことが多くなった。運動が日課だったが、退院後は微熱が続き体が常にだるく、そうもいかない。さらに味覚異常が残り「舌がまひした感じで全体的に味がしない」という。

 症状は今も続いており、職場に復帰したが以前より負担の少ない業務を担当している。「朝起きて出勤の準備をするところから苦痛。入院中より退院した後がきつい」と悩んでいる。男性の知人女性は半年以上、後遺症が続いているという。

 中部病院の横山周平医師によると、コロナの治療後に通院する患者の6割は何らかの症状が残っている印象という。症状は多様で、入院中の症状が長続きする場合や、退院後に脱毛や、頭がぼんやりする症状が起きたりする人もいるという。後遺症には特効薬がないため「感染しないことが一番」とコメントした。 

(嘉陽拓也)