「ごみゼロ」賞にバガスかりゆし シマ・デニム・ワークス製作


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アイデアによって「捨てない」商品やサービスを認定する第1回「チョイス! ゼロ・ウェイスト アワード」に、「SHIMA DENIM WORKS」(シマ・デニム・ワークス、浦添市)が製作するかりゆしウエア「アップサイクルかりゆし」が選ばれた。30日に東京で表彰式が開かれる。同店の代表は「地球に優しい製品と認められてうれしい」と話している。

第1回「チョイス! ゼロ・ウェイスト アワード」に認定された「SHIMA DENIM WORKS」の「アップサイクルかりゆし」。サトウキビの搾りかす「バガス」を用いた生地で製造する=6月、浦添市港川

 

「アップサイクル」とは、廃棄物などにアイデアやデザインで新たな付加価値を与える持続可能なものづくりの取り組み。シマ・デニム・ワークスは、サトウキビの搾りかす「バガス」を用いた生地でかりゆしウエアを製造している。購入者には買い取り保証を与えて可能な限り再利用し、観光客らを対象にしたシェアリングサービスにも提供して製品を長く使う工夫を凝らしている。

「チョイス―」は、ごみがごみでなくなる社会を願う企業や有志らが参画する「SUTE.lab(ステラボ)」が主催する。製品などがごみにならずに再生される「ゼロウェイスト」社会の実現をテーマに掲げ、その取り組みはファッションモデルの冨永愛さん、建築家の隈研吾さん、小泉進次郎環境相ら著名人らも賛同している。

ステラボによると、全国の企業や個人から応募が寄せられ、最終審査には11点が残った。(1)原材料の循環性(2)生産の持続性(3)日々の暮らしへの浸透性―などを踏まえた審査の結果、「アップサイクルかりゆし」と、電子機器のリサイクル事業を展開するピープルポート社(神奈川県)の「ゼロPC」が選ばれた。

ステラボの鈴木祐介さんは、アップサイクルかりゆしについて「取り組みを通して消費者を啓発し、使えなくなった服は炭化させて土壌改良材としてサトウキビ栽培に使っている。生産から回収まで責任を持ち、畑へと循環させている点が素晴らしい」と講評した。

シマ・デニム・ワークスの山本直人代表は「私たちの取り組みの循環性が評価された」と認定を喜ぶ。今後は、廃棄されるかりゆしウェアを使った製品の検討や、他メーカーや伝統工芸との共同製作にも力を注ぐ。「1グラムでも多く、バガスをアップサイクルすることを使命に、今後もさまざまな展開を通し、認知拡大にも取り組みたい」と抱負を語った。

 (小波津智也)