「最高だった」自転車・新城、3度目の五輪は35位「これが僕の今の位置」


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男子個人ロードレース 走行する新城幸也=東京都稲城市の多摩ニュータウン

 男子個人ロードレースで3大会連続出場の新城幸也(八重山商工出、バーレーン・ビクトリアス)は6時間15分38秒で35位。

 集団に囲まれ、日の丸をモチーフにしたウエアをまとった新城幸也がゴール会場の富士スピードウェイに姿を現した。登った高さの合計を示す「獲得標高」が4865メートルという過酷なコースの完走を目前に、口元が緩む。「最高だった。これ以上はできないというくらいのレースだった。やりきった」。力強いスパートでゴールラインを通過し、晴れやかに汗を拭った。

 3度目の大舞台を迎えた36歳。「緊張はなかった」と先頭を追うメイン集団に付け、様子を見ながら冷静な走りを見せる。標高差900メートル以上を一気に登る中盤の富士山麓を過ぎても、離されない。棄権選手が続出するサバイバルレースで、ベテランらしく淡々とポジションを維持した。

 しかし、約800メートルを駆け上がる終盤の難所で遅れる。それでも世界三大レース「グランツール」への出場通算14度という日本の第一人者は諦めない。一時50位台まで順位を落としたが、ゴール時には35位まで盛り返した。上位陣との力の差はレース前から自覚していた。「落車もなく、補給もうまくいった結果。力で打ちのめされた感じ。これが僕の今の位置ですね」と潔かった。

 山道には「チバリヨー幸也」と大書した横断幕が掲げられ、沿道からの拍手もほぼ途切れることなく続いた。「たくさんの応援が力になった。こんなに日の丸を見たレースはない。それだけでうれしかった」。一生に一度であろう、母国開催の五輪レースを終え、万感の思いを口にした。