子どもたちの優しいルールに学んだ 喜屋武研伍(北部支社)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

written by 喜屋武研伍(北部報道グループ)

 新型コロナの流行と同時期に北部支社に配属となり、1年が経った。いまだコロナ関連の暗いニュースが多いが、地域の明るい取材もある。名護市我部祖河の稲田小学校で、鳥が竹ほうきに巣を作っているとの情報が入った。くすっと笑えるような情報で元気になり、わくわくしながら学校に向かった。

 稲田小は市内とは思えないほど、豊かな自然に囲まれていた。サトウキビ畑や植物畑に囲まれ、校内では多くの鳥や昆虫が観察できる。緊急事態宣言の発令に伴い学校は臨時休校となり、無人の教室前に鳥が巣を作った。巣の中には卵が6個入っていた。

そっと巣の中をのぞきこむ6年生の児童ら=名護市の稲田小学校

 児童らは話し合って「巣に近づかない」など、優しく見守るためのルールを作った。取材中、カラスが近くを飛んでいたのが気になり、ある女子児童にそのことを尋ねた。「自然だから、巣が襲われても仕方ない。見守るしかない」。カラスを悪者にせず、淡々と話す児童に驚いた。

 私が同じ年頃だったらカラスが憎くて追い払ってしまう。自然の中で過ごし、学んできたからこそ育まれた感性だろう。コロナ禍でもしっかりと成長する、子どもたちの表情や声を伝えていきたい。

(名護市、本部町、今帰仁村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。