GK棚村が好セーブ連発 水球男子、強豪ハンガリーを苦しめる


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 シドニー大会から五輪3連覇した強豪ハンガリーを苦しめた日本。前半を同点で折り返すなど善戦の原動力となったのは、母親が石垣市出身のゴールキーパー、棚村克行だ。米国と当たった予選第1戦と同じく11本のシュートをはね返し、セーブ率は41%に上った。

日本―ハンガリー 第2ピリオド、ゴールを守るGK棚村=東京辰巳国際水泳場

 ハイライトは第2クオーター残り約1分。1対1のペナルティースローを左手一本で死守し、流れを引き寄せた。時にはフィールド選手と見まがうような俊敏な飛び出しでパスカットも見せた。「上から上から!」との声掛けも途切れず、積極的に前に出る日本の守備「パスラインディフェンス」を最後尾で支え続けた。

 ただ、結果は予選2連敗。世界との体格差を補うためにリスク承知の守りを敷くため、ポジション取りや打たれていい場所などチーム内のルールは多い。「僕らの守備はミスが直接失点につながる。どれだけミスを少なくするかがポイント」と、初勝利に向けて改善点を見詰める。

 類いまれな瞬発力で好セーブを連発したが、個人としても「もうちょっと止められるシュートもあった」と満足はない。大会開幕直前に「石垣の親戚や知り合いに喜んでもらいたい」と決意を語っていた棚村。次戦こそ、遠い南の島からエールを送る人たちに大きな一勝を届けてくれそうだ。
 (長嶺真輝)