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ほぼ角度のないところからGKの足元を抜いたかと思えば、鮮やかなループシュートで意表を突く。変幻自在に6本のシュート全てを成功させた池原綾香。「仲間がつくってくれたチャンスを決めるのが役割。そこは果たせた」。点取り屋の気概をのぞかせた。
最初の攻撃で決めた1点目で手応えをつかんだ。持ち味の球持ちの長さでGKの動きを見極め、左足元を抜いた。「早く動くキーパーだったからいつも通りに打てば入る」と感じたという。相手の好守の切り替えが遅く「速攻を素早く」と共通理解を深めていた選手たち。池原も度々先頭を走り、ネットを揺らした。
試合後、取材エリアでシュート成功率100%への受け止めを聞かれ、一言。「イエスッ」。左拳を握り、愛嬌(あいきょう)たっぷりに笑った。受け答え中、後ろを通ったモンテネグロの選手からたたえるように肩をたたかれると「認めてくれてるのかな」とうれしそうに語り、また白い歯を見せた。
池原のデンマークの所属先でも指揮を執る女子代表のウルリック・キルケリー監督も「(池原の活躍は)期待していたもの」とうなづく。「このチームにとって彼女は誇りだし、沖縄の皆さんも誇りに思ってほしい」と話した。
五輪で45年ぶり白星の歴史的瞬間をたぐり寄せる原動力となった。後半には3人が同時に2分間退場となる苦しい時間帯もあったが「2人で1人を守ることが徹底できた」と粘り、逃げ切った。ただ自身の守りには課題を感じたよう。次戦の韓国戦に向けて「もっと駆け引きして、積極的に仕掛けたい」と気合を入れ直した。
(長嶺真輝)