西表島の「今」映画に ドキュメンタリー「生生流転」 人々の日常描く


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ドキュメンタリー映画「生生流転」は3年間に渡り撮影した西表島の「今、起きていること」を伝える。PRする仲程長治監督(右)と、映画の出演者で西表島在住の染色家石垣昭子さん=21日、那覇市前島のホテルアンテルーム那覇

 世界自然遺産に登録された竹富町西表島を舞台にしたドキュメンタリー映画「生生流転(せいせいるてん)」(仲程長治監督)が22日、動画投稿サイト「ユーチューブ」の「KEEN JAPAN」公式チャンネルで公開された。映画は西表島在住の郷土史家石垣金星さんと、染色家の昭子さん夫妻を中心に、島の人々の日常の暮らしを撮影した。また、自然を守ろうと奮闘するネイチャーガイドの姿を通して、西表島の「今」を伝える。

 公開に先駆けて21日、ホテルアンテルーム那覇で記者発表会が行われ、仲程監督と昭子さんが映画の魅力や撮影を振り返った。映画を撮影したきっかけは、仲程監督が雑誌の撮影のため知り合った金星さん、昭子さん夫妻との出会いだった。「島を守り、自然と共存している人々の姿を映像で残さないといけないと思った」と撮影の意図を話した。

 昭子さんは1980年代から西表島で夫の金星さんと稲作と紅露(くーる)工房を営んでいる。映画では自生する紅露芋を裏山に採りに行ったり、フクギや藍などを用いた制作風景も収めた。「長治さんとは以前から身内のような付き合いがあり、信頼関係があった。普通の生活まで入り込んでくださった。映画は美しい西表島の自然やごみ問題などをトータルに撮っているので非常に理解しやすい。西表を知るきっかけになってほしい」と話した。

 四季の移ろいの中でさまざまな表情を見せる希少動植物や島の祭祀(さいし)、先人たちが残してきた豊かな自然や文化を記録した。一方で、イリオモテヤマネコの保護活動や、海岸線に押し寄せるプラスチックの漂着ごみなど、西表島が抱える近年のさまざまな環境問題を、ネイチャーガイドの取り組みを通して伝える。仲程監督は「西表島で今、起きていることを赤裸々に撮影した。島を守っている人々のことを映画を見て知ってほしい」と視聴を呼び掛けた。

 制作は西表島の自然環境や文化の保全に取り組むプロジェクト「Us 4 IRIOMOTE(アス・フォー・イリオモテ)」。特別協賛はKEEN JAPAN。