沖振計自民提言案に経済界は…現行制度維持に評価 酒税見直し「徐々に」 


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 自民党は28日、沖縄の新たな振興計画に関する提言案をとりまとめた。大枠では現行計画の制度を継続する方針について、経済界からは評価する声や課題を指摘する意見が出た。 

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は「沖縄の経済的な自立のために、今の制度は引き継ぐ必要がある。そこをきちんと見てくれたことには評価したい」と話した。県民所得の低さや子どもの貧困などの課題を挙げ「沖縄の自立は道半ばだ。未来永劫ではないが、一括交付金や税制などはまだ必要だ」と話した。

 22年5月で期限を迎える沖縄復帰特別措置法に基づく酒税軽減措置については、6月に開かれた調査会のヒアリングで、オリオンビールが5年、県酒造組合が10年で軽減措置からの「卒業」を考えていると報告した。自民党の提言案では「自発的、積極的な提言がされたことを受け止め、所要の見直しを行う必要がある」と記述している。

 県酒造組合の佐久本学会長は「10年かけて段階的に軽減していくことを要望してきた。急にゼロにされると持たない事業者も出てくるかもしれないので、徐々に軽減率を下げてもらいたい」と改めて求めた。泡盛は国の海外輸出の重点品目に選ばれ、ユネスコの無形文化遺産に登録する動きもある。「波に乗って自立ができればと思う。自立という目標に向けての振興をしてもらいたい」と述べた。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は、観光地形成促進地域や航空機燃料税の軽減措置など、既存制度は沖縄観光の発展にとって重要だと強調する。「観光関連の制度については原則延長で要望してきた。これまでやってきたことを一定部分継続してもらえるのはありがたい」と話した。

 提言案では農林水産業について、輸送費支援などの取り組みの継続とともに、高付加価値化などで県外、海外市場での競争力を強化する重要性を指摘している。JAおきなわの普天間朝重理事長は、近年の県内の農業算出額は年間約1千億円で推移しているとし、「今後、1500億円程度まで高めるにはスマート農業やIT化を促進する新たな対策も必要になる。現状維持ではなく、プラスアルファの支援が必要だ」と指摘した。県内の農業振興は離島振興とも直結する。「農家の高齢化や担い手不足、流通の不利性など課題は山積している。引き続き離島振興の在り方も検討してもらいたい」と求めた。