沖縄・東村の「比嘉ストアー」歴史に幕 「中心地」で愛され30年以上


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比嘉ストアーを切り盛りしてきた比嘉藤子さん(左から3人目)ら。地域の人や客からの感謝の花が店内に並ぶ=7月31日、東村平良

 弁当や日用雑貨、食料品などを扱い、地域住民の暮らしを支えてきた東村平良の「比嘉ストアー」が7月31日、30年以上の歴史に幕を閉じた。店を始めた比嘉行男さん(81)と藤子さん(79)夫婦、娘の玉城百合江さん(55)ら家族で切り盛りし、朝から夜までほぼ年中無休で営業してきた。村民からは閉店を惜しむ声が相次いだ。

 比嘉ストアーは、大宜味村塩屋方面に向かう国道331号と北部東海岸を通る県道70号が接する交差点近くにある。付近には村役場や郵便局、JAなどがあり、村の「中心地」とも言える場所だ。午前7時ごろに開店し、仕事に向かう人々は弁当を、地域の人々は食料品や日用品などを買い求める。店が閉まる午後8時ごろまで客足は絶えない。平良区の前田潤一区長は「地域の人々の生活にとって大切な場所だ」と話す。百合江さんは「全村民が一度は来店しているのではないか」と笑う。

最終営業日を迎えた比嘉ストアー

 「毎日大変だったよ」と振り返る藤子さん。行男さんは毎日午前3時ごろに起きて名護まで弁当などを仕入れに行く。平日の午前中は2往復する。藤子さんも朝早く起きて準備を始める。百合江さんによると、店は37年の歴史がある。その間ほとんど休まず営業を続けてきたが、比嘉さん夫婦は高齢となり体力的に営業を続けることが難しいと判断。苦渋の思いで閉店を決めた。

 最終営業日となった31日も多くの人々が店を訪れた。東村の30代男性は家族と店頭に立ち、記念撮影をし閉店を惜しんだ。「小さい頃からよく行った。思い出もあり寂しい」と名残惜しそうに語った。店内には客などからの感謝の思いが込められた花々が並ぶ。「本当にありがたいね」。藤子さんらは感慨深そうな表情を見せた。 

(長嶺晃太朗)