柔道金・阿部兄妹の曽祖母は名護出身 沖縄の親戚たちも「感動の極み」


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東京五輪で快挙を達成した阿部兄妹と親戚の(左から)仲村唯且さん、安次富奈津さん親子=7月31日、沖縄市

 自国開催の五輪でメダルラッシュに沸いた柔道。日本史上初となる兄妹金メダルを獲得した阿部一二三選手と妹の詩選手は象徴的な存在だ。兄妹は兵庫県神戸市出身だが、母方の曽祖母が沖縄出身。親戚の仲村唯且(ただかつ)さん(78)と安次富奈津さん(46)親子は、沖縄市の自宅で観戦し「言葉で表せないほど感動した」と偉業をたたえた。

 阿部兄妹の曽祖母・ツネさん(故人)は現在の名護市嘉陽に生まれ育ち、戦前に大阪へ移り住んだという。仲村さんはツネさんのおいで、兄妹の祖父・谷村栄さんといとこにあたる。仲村さんは谷村さんを「サカ坊」と呼び、何かあるたび連絡を取り合ってきたという。娘の安次富さんは20代の頃に3年間、大阪で看護師として働いていた時に谷村さん家族と親交を深めた。

花火大会の鑑賞会で集まったときの記念写真。祖母に抱かれているのが幼い頃の阿部一二三選手(右から2人目)、その隣が安次富奈津さん=大阪府(提供)

 仲村さんも安次富さんも、成長した阿部兄妹と直接言葉を交わしたことはないが、国内外の大会で活躍する姿を応援し続けてきた。2019年に大阪で開かれた世界大会では会場にも駆けつけた。兄妹の祖母・香さんからはこまめに近況連絡があり、安次富さんも沖縄の新聞に兄妹の記事が掲載されると切り抜いて送る。

 東京五輪はそろってテレビの前で見守った仲村さんと安次富さん。金メダル獲得の瞬間、仲村さんは「感動の極み。サカ坊の孫がすごいことをやった」と涙が出たという。安次富さんは祖母の香さんに「おめでとう!」と興奮を伝え、「ありがとう。本当にようやってくれた」と返ってきたという。

兄と妹で同日に金メダルを獲得し笑顔を見せる男子66キロ級の阿部一二三選手と女子52キロ級の詩選手=日本武道館

 コロナ禍での五輪。安次富さんは、詩選手と同居して支えてきた母の愛さんにも思いを寄せる。「感染対策を取りながら体調管理もして、気苦労があったと思う。愛姉ちゃんにも『すごいね』と言いたい」

 一二三選手は23歳、詩選手は21歳。次の五輪でも「世界最強の兄妹」への期待は膨らむ。仲村さんと安次富さんは「2連覇、3連覇を目指して」とエールを送った。

(大城周子)