「誰より練習、皆が尊敬」 共に競った与那覇さん祝福


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 屋比久翔平選手の高校時代の同級生で、小学生から一緒に競技をしてきた与那覇竜太さん(27)=東京都=は「本当にすごい。たくさん思い出はあるが、全て超えるくらいうれしい思い出ができた」と興奮気味に祝福した。与那覇さんは組織開発コンサルタントの会社に勤めながら、慶応大学レスリング部のコーチとして競技に関わっており「選手としても尊敬する」と話した。

 小学生時代は同じ柔道教室に通った。「教室のスローガンは『継続は力なり』。翔平はその言葉通りに努力していた」と振り返った。

 宜野湾市の嘉数中学校に通っていた屋比久選手は、学校が終わると走って浦添工業高校を訪れ、高校生を相手にレスリングの練習に励んでいたという。

 高校時代、一緒に世界大会に出場するなど、しのぎを削った。「誰よりも練習していた。嫌みな所がなく、学校のみんなから尊敬される存在だった」と屋比久選手の人柄に触れた。

 屋比久選手は「父の代わりにメダルを取る」が口癖だったという。与那覇さんは「(父親の)保さんは『勝つことに意味はない。頭のてっぺんからつま先まで応援される人間になれ』と言っていた。その教えも体現した」と話した。

 屋比久選手の母校、浦添工業高レスリング部の後輩らは「偉大な先輩」の活躍に喜びを爆発させた。幼少のころから屋比久選手と親交のあった3年の伊計志暉(もとき)さん(17)は「沖縄にとって新たな歴史の一ページだ」と語った。5歳でレスリングを始めた伊計さんにとって屋比久選手は兄のような存在。「優しく、レスリングは昔から異次元の強さ。沖縄にメダルがくることがうれしい」と語った。

 県内の高校レスリングでただ1人の女子選手である金城里音さん(17)は「後輩として誇りに思う」と興奮を隠しきれない様子。自身は開催中の北信越総体に九州王者として出場予定で、「次は私の番だ」と意気込んだ。主将の喜屋武空さん(17)は「自分が勝ったかのようにうれしい」と話した。

 北信越総体レスリング学校対抗戦に出場する北部農林高校の選手も刺激を受けた。主将の友寄汰志(たいし)さん(18)は「メダルが懸かった試合で2回も投げたことは本当にすごい。冷静に対処して試合を進めた姿に学びたい」と総体を見据えた。

 副主将の大城祐人さん(17)は「投げられた時に体をうまく使って失点を最小限に抑えたところがうまかった」と感心しきり。山城快陽(かいや)さん(17)は「今大会の77キロ級は投げる試合が少なかった。その中で2回も投げた」と興奮気味に話した。総体が間近に迫り「屋比久選手のように前に出る試合で点を重ねチームに貢献したい」と話した。