「公益上の不利益甚大」 沖縄県、執行停止の影響主張 辺野古サンゴ移植


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辺野古新基地建設現場近くのサンゴ(資料写真)

 名護市辺野古の新基地建設を巡るサンゴ移植許可の撤回について、県は農相への意見書で、執行停止によって移植が強行されれば、サンゴが再生不可能となり、公益上の不利益は甚大であると主張した。国による執行停止は、行政不服審査法の「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」に該当すると訴えた。

 防衛局が主張する撤回に伴う損害について、米軍普天間飛行場の危険性除去という要請は執行停止では救済されないとし、「『日米の信頼関係』が損なわれるかの主張もまったく実証的な根拠もない」とした。

 また、埋め立て工事の一時遅延が「重大な損害」ではないこと、行政法の「重大な損害を避けるために緊急の必要性」にも当たらないと強調した。

 県はサンゴの生残率を高めるため、沖縄防衛局に対して移植の許可を出す際に付けた条件への違反を撤回の根拠にした。水産資源保護のため、高水温期や台風時の移植回避などを条件としていたが、防衛局は移植作業を進めた。県の許可撤回は水産資源の保護培養に必要で、関連法令に基づき適切な対応であることを主張した。