クイズや運動で高齢者を元気に リハビリ動画365日分を制作し配信


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動画に合わせて手を動かす人たち=宜野湾市のふれあいデイサービス愛知の家(アカバナプロジェクト提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で外出制限などが続き、高齢者の認知力や筋力低下が危惧される。コロナ禍でも高齢者が楽しく過ごせる時間を提供しようと、特別支援学校教諭の山城郷士さん(40)とケアマネジャーの中村文彦さん(41)は共同で、頭と体を動かす動画365日分を制作する「アカバナプロジェクト」を始めている。方言や手を使った簡単な運動などを取り入れ、動画投稿サイト「ユーチューブ」で無料配信し、県内の高齢者施設などで反響が広がっている。 (吉田早希)

 「はいさ~い。皆さんお元気でしょうか?」。10分ほどのコンパクトな動画は、明るいあいさつから始まる。その日の日付を確認するクイズや方言を使ったリハビリが盛り込まれている。

365日分の動画制作に挑戦するアカバナプロジェクトの山城郷士さん(右)と中村文彦さん=7月21日、浦添市の内間公民館

 きっかけは、施設に入所する祖母のために山城さんが動画を制作したことだった。コロナ禍で面会禁止が続き、直接会えない期間もリハビリができるようにと簡単なクイズの動画をDVDにまとめて届けた。動画は好評で、その後施設内でも流すことに。

 祖母のケアマネジャーの中村さんと協力し、インターネットを通じ多くの高齢者に動画を届けようとプロジェクト企画につながっていった。

 同プロジェクトは赤い羽根共同募金の助成を受け、2020年8月から福祉施設の関係者らからコロナ禍の困りごとや意見を聞き取った。1日1日を意識できるよう日付の確認や、座った状態でできる頭や体のリハビリ動画への要望が上がった。同年10月からは番組の構成を検討し、ユーチューブに「アカバナチャンネル」を開設した。仕事の後や休日に時間をつくり、現在約200本の動画撮影を終えた。目標の1年分到達へ歩みを進める。

浦添市社会福祉協議会職員も加わった動画撮影。方言やわらべうたを取り入れ、楽しみながら体を動かせるよう工夫する

 7月21日は、浦添市社会福祉協議会の職員らも加わり、わらべうたに合わせて手を動かす動画を撮影した。視聴者に伝わりやすいよう声をはっきり大きくするなど工夫も凝らした。

 日本老年医学会は、コロナ禍で高齢者が自宅にこもり一日中テレビを見ていたり、誰かと話すことの減ったりする状態が続くと、体や頭の動きが低下しフレイル(虚弱)が進行すると注意を呼び掛ける。

 山城さんと中村さんは「動画が現場にいる介護士の負担減につながり、高齢者とのコミュニケーションツールになればうれしい。施設だけでなく自宅でもぜひ活用してほしい」と呼び掛けた。

 ユーチューブのアカバナチャンネルはhttps://www.youtube.com/channel/UC_jN74P2s9LmYyXCA6nDA9Aから。