沖縄県の最低賃金審議会は平行線 使用者側が4月発効へ延期求める


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
那覇市の街並み

 2021年度の県内最低賃金を議論する沖縄地方最低賃金審議会(島袋秀勝会長)は6日、第3回会合を那覇市内で開いた。現行で時給792円の最低賃金額を巡り、労働者側委員が38円の引き上げを求めたのに対し、使用者側委員は現状維持のゼロ円を提示し、協議は平行線をたどった。結論を11日以降に持ち越すことを決定した。コロナ下での大幅引き上げに難色が強い使用者側は、10月1日を予定していた最賃改定の発効期日についても来年4月に延期することを求めた。

 最低賃金は委員の全会一致で決定することが慣例になっているが、労使の一致を見ない場合は審議会の多数決となる可能性がある。

 10月以降に適用される最低賃金を巡っては、厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会が、全国一律で時給を28円引き上げるよう目安を決定した。前年はコロナ感染拡大による経済影響を考慮し、目安を示しきれなかった。

 中央審の目安を踏まえ、都道府県ごとの地方審議会で実際の改定額を協議しているが、大幅引き上げに対して中小零細を中心に全国的に企業の反発がある。

 県商工会連合会の親川進専務理事は「新型コロナで先が見えない。景気の回復を見ながら、できれば発効日を来年4月1日にしてもらいたい」と述べ、最賃額の改定について従来の10月発効にこだわる必要はないとの立場を示した。

 これに対し、連合沖縄の砂川安弘事務局長は「発効日がずれると最低賃金で働く労働者が損害を受ける。一日も早く新たな最賃額を適用させたい」と話した。

 厚労省賃金課によると、5日時点で31都道府県の地方審議会で改定額が答申されており、10月1日に発効する予定。これまでに発効日が年をまたぐ事例は全国的にもないという。

 一方、地域の最低賃金より高い金額が必要と認められた特定(産業別)最低賃金について、県内では新聞業のみ8月末から改定の審議を始めることを決めた。