「大役いただき光栄」  五輪閉会式で旗手の喜友名、背筋伸ばし


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閉会式で日の丸を手に入場する旗手の喜友名諒(中央)=8日夜、国立競技場

 空手の男子形で金メダルに輝いた喜友名諒(31)=劉衛流龍鳳会=が閉会式で日本の旗手を務め、日の丸を掲げて五輪発祥国ギリシャとともに各国・地域の先頭を切って登場した。礼節を重んじる伝統武道の象徴的存在となり「大役を任せていただき光栄に思う。最後まで日本人らしさを見せたい」と背筋を伸ばした。

 試合とは打って変わって柔らかな表情で一歩一歩を踏みしめた。選手らが続々と入場してくると、にぎわいの輪の中に消えていった。

 力強く美しい圧倒的な演武で見る者の心を震わせた。6日の決勝後は日本武道館のマットの上で正座して一礼し、「全てに感謝します」との思いを込めた。一昨年亡くなった母の遺影を持って表彰台に立った姿とともに、今大会の名場面の一つになった。

 空手が発祥した沖縄で生まれ育ち、今もその地で腕を磨く。愛する故郷へ初の金メダルをもたらした男は「早く帰って、金メダルを仲間と分かち合いたい」と目を細める。同時に「一生鍛錬」と満足する様子はなく、9日に帰郷し、翌日から稽古を再開するつもりだ。(共同通信)