ローン減免の調停成立 コロナ特例で沖縄県内初 債務170万円が10万円に


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 沖縄弁護士会は10日、新型コロナウイルスの影響でローンの返済ができなくなった個人らを救済するための特例措置「コロナ版ローン減免制度」を利用し、債務を減免する特定調停が県内で初めて成立したと発表した。約170万円の債務のうち、約160万円が減免されたという。同会の畑知成会長は「メリットが大きい制度。困っていたらまずは相談してほしい」と呼び掛けた。

 担当した島袋元弁護士によると、申し立てをしたのは県内在住の元会社員の40代男性。毎月の給与が少なくなり、退職に至ったという。生活費のために借り入れをしていた。債権者の合意を得て今月上旬に那覇簡裁で特定調停が成立した。

 減免制度の対象になるのは、昨年2月1日以前の債務と、昨年2月2日~同10月30日までに新型コロナの影響による減収で借りた債務。「登録支援専門家」の支援を受け、調停を裁判所に申し立てられる。

 制度が適用されれば、一定の財産を手元に残せるほか、ブラックリストに登録されず、新たな借り入れに影響が及ばないなどの利点がある。沖縄弁護士会によると、制度を利用するための専門家への委嘱件数は県内で26件(10日時点)。

 島袋弁護士は「法律相談でもコロナで困っているとの声はかなりある一方で、まだまだ制度が周知されていないという感覚がある。困っている人は弁護士会に相談してもらいたい」と述べた。問い合わせは同会(電話)098(865)3737。