【深掘り】沖縄1区「保守合同」は衆院選後? 下地氏の自民復党に棚上げ論


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 10月21日に任期満了を迎える衆院議員の総選挙が迫る中、県内4小選挙区のうち、那覇市を中心とする1区の選挙構図がいまだ固まっていない。保守系の現職・下地幹郎氏(無所属)の自民党復党の行方が定まっていないためだ。復党議論は進展しておらず、「オール沖縄」の赤嶺政賢氏(共産)と政権与党の国場幸之助氏(自民)、下地氏の現職3氏による三つどもえになるとの観測が日増しに強まる。ただ、下地氏復党を求める一部経済界の動きは健在。活動をさらに活発化させることも予想され、行方が注目されている。

 下地氏の自民党への復党を求める経済界でつくる「保守合同を実現し沖縄の未来を創る会(保守合同の会)」は7月下旬、会員企業や業界団体などに下地氏復党を軸とした「保守合同」の必要性を訴える長文の文書を送付。同月末には同会幹部が党本部で林幹雄幹事長代理らと面会し、下地氏復党を改めて求めた。

 昨年11月に「復党反対」を組織決定した自民県連の周辺に協力を呼び掛け、県連との協議に向けた糸口を探るためだ。ただ県連幹部の一人は「復党は党本部が決める。ボールは党本部にある」とにべもない。

逆風

 加えて下地氏側にとっては7月の那覇市議選の結果が逆風となっている。同選挙では自民候補が躍進した一方で、下地氏が支援した候補者の当選は5人中3人にとどまり、さらに共産も2議席減らした。衆院選の構図に落とし込めば、国場氏が“一人勝ち”した格好となったためだ。1区の自民関係者は保守分裂の三つどもえでも国場氏が勝ち抜けるとの認識を示し、「少なくとも衆院選は国場氏と赤嶺氏の戦いになる」と語る。

 下地氏側も、同氏を支持する議員グループが8月に入り那覇市内各地で手振りを始めるなど、三つどもえの選挙に備える。下地氏に近い関係者は、過去の結果から下地氏には3万票の基礎票があるとした上で「今まで自民支持だった企業の票も国場氏から移動してくる。それでも国場氏はやりきれるのか」と臨戦態勢を示しつつ、けん制した。

知事選へ

 県連内には「保守合同」に関する一部経済界との協議を、衆院選後に棚上げしようという認識が広がる。ある県連幹部は「衆院1区での下地氏の復党が絡むから複雑になっている。経済界とは衆院選後の落ち着いた環境で、知事選を見据えた今後の態勢を話し合うべきだ」と説明する。

 こうした考えに保守合同の会の関係者は「衆院選前に協議に応じなかった場合、信頼関係は失われる。『どうせ経済界は(保守系候補の応援で)動く』と考えているかもしれないが、私たちは県連の下請けではない」とくぎを刺す。水面下で協議に向けた調整を進めているとした上で「協議さえすれば下地氏復党、保守一本化でまとまるはずだ。そうなることで党本部を動かせる。解散の時まで、粘り強くやるだけだ」と強調した。

(大嶺雅俊)