平和機構の設置へ議論 県振興審部会 整合性に疑問の声も


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次期沖縄振興計画の素案の平和行政や安全保障に関する記述などを議論する県振興審議会総合部会=10日、那覇市の八汐荘

 2022年度からの新たな沖縄振興計画の策定に向け、素案や成果指標を審議する県振興審議会の第2回総合部会(部会長・大城郁寛琉球大名誉教授)が10日、那覇市の八汐荘で開催され、平和行政や安全保障分野などで議論を交わした。素案にある「平和推進の拠点となり調査研究や情報発信等を行うため『国際平和研究機構』(仮称)の設置を検討」との文言に対して質疑が相次いだ。「設置主体は国か県か、明確にするべきだ」「既存の県女師・一高女ひめゆり平和祈念財団が財政難の中、新たな組織の創設は財政面も含めて整合性に疑問」などと指摘が上がった。

 県女性力・平和推進課の榊原千夏課長は国際平和研究機構について、「どのような形になるかは庁内で関係部局と連携しながら議論を進めたい」と説明した。

 また、米中の対立が深まることで観光や経済面でリスクが生じる可能性があるとして、委員から「米中関係によるさまざまな構造的変化の影響を見定める必要」などと、素案に盛り込むよう提案された。県は了承して修正したと報告した。

 一方、前副知事の富川盛武委員からは、素案に沖縄戦の経験を踏まえて、平和の「緩衝地としての役割」との文言追記の提案もあった。県交流推進課の担当者は「地域間外交の側面から沖縄の役割を示すことは重要と認識しているが、関係部局と相談したい」と述べるにとどめた。