クラスター現場に人材派遣 浦添の事業所、高齢者施設に協力呼び掛け 


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 新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した沖縄県内の高齢者福祉施設で患者対応ができる職員が不足した際、別の高齢者福祉施設から看護・介護職員を派遣するコーディネート事業を、訪問看護事業などを運営するソーシャルアクション(浦添市、崎濱隼次代表社員)が7月末から実施している。6月中旬に県から委託を受けた。人材派遣業とは異なり、発生した施設と人材を出す施設を結び付ける「在籍型出向」という体制を構築し、クラスターの早期収束に取り組んでいる。崎濱代表社員は「応援できる施設を広げたい」と協力を呼び掛けている。

 ソーシャルアクションは現在、社会福祉法人などに介護・看護職員の人材確保の協力を呼び掛けるとともに、派遣可能な職員に感染症対策の事前研修を実施している。多くの施設が事業に登録することで、クラスターが発生した際、速やかに人材を投入できるという。出向する職員は基本的に感染リスクが低い業務を担当する。

 高齢者施設のクラスター発生現場では、県や医療機関から医師や看護師が派遣されるが、業務量が多いため、看護・介護職員の支援を希望する声も少なくないという。一部の福祉施設から職員が派遣された例もあったが、給与体系や宿泊施設の確保、感染時の補償を巡る問題が整備されておらず安定的に運用できなかった。そのため、ソーシャルアクションが県と調整し、法人間を結ぶ体制を築いた。2日時点で6施設が登録している。

 今後、自宅療養する高齢者の看護ができるように職員の調整もする。高齢者を看護する家族が感染した場合も、即座に対応できる体制も検討している。
 崎濱代表社員は「感染現場で活躍した職員は、職場にノウハウを蓄積できるメリットもある。在宅医療の現場では治療やヘルパー的な要素も担える。そのためには応援できる人材の数を確保する必要がある」と登録を呼び掛けた。