最低賃金改定答申に異例の意見書と付帯決議 労使双方が添付


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 2021年度の県内最低賃金改定を巡り、沖縄地方最低賃金審議会が12日に沖縄労働局長に手交した答申書には、付帯決議と労使双方の意見書が添えられた。沖縄労働局によると、答申に付帯決議と意見書が付くのは異例という。

 付帯決議は、新型コロナウイルスの感染拡大で経営状況が厳しい中で、中小・小規模事業者が最低賃金を引き上げやすい環境を整備するために、国などへの8項目の要求を記した。状況に応じて雇用調整助成金のさらなる要件緩和や特例措置を延長することや、行政との事業契約で人件費単価が改定後の最低賃金を下回った場合に、適切な価格に見直す条項をあらかじめ契約に入れることなどを要望した。

 使用者側は意見書で、中央審議会が7月に28円の引き上げ額の目安を全国に示したことに、「国の審議会の状況認識は県内の経済、雇用の実態と大きくかけ離れている」と指摘した。

 新型コロナウイルス感染症が急拡大している現在の県内経済・雇用情勢では、事業の継続や雇用の維持確保を図ることが最優先だとして、今回の審議に対しても「目安額ありきの審議となっており、地方最低賃金審議会の在り方が問われている」と不満を示した。

 これに対し、労働者側の意見書は、引き上げの早期発効に向けて最大限配慮することや、中小事業者が確実に最低賃金を引き上げられるよう、上昇分を適切に取引価格に転嫁できる環境整備などを求めた。

 労働行政に対して、監督体制の抜本的な強化や違反事業所の積極的な摘発、罰則適用など、制度の実効性を高めることを要望した。