OIST研究拡充提言 内閣府検討会 民間資金の活用も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄科学技術大学院大学(恩納村、OIST)の今後の在り方を検討する内閣府の有識者検討会(座長・相澤益男科学技術振興機構顧問)が20日、オンラインで開かれ、最終報告をまとめた。OISTは国際水準の研究と教育で成果を上げていると評価しつつも、小規模のため研究分野の幅が不十分として「将来的に規模の拡充が必要」と提言した。引き続き国の財政支援が必要とた上で、「運営予算の95%を国からの補助に頼る状況からの早期脱却が必要」と指摘し、民間資金の獲得による財源の多様化を求めた。

 学術的な成果は評価

 OISTの設置法で定めている「2分の1を超える経費を国が補助する」条文は「当面の間、維持する必要がある」と明記した。

 OISTに交付される毎年200億円程度の補助金は沖縄振興予算として拠出される。だが、沖縄の産業界や自治体との関わりが不十分として、「日常的に対話し、沖縄が抱える課題の把握に努めるなど、一層地域に根差していくことが必要」とした。

 検討会はOIST設置から10年後をめどに国の財政支援の在り方などを検証するため設置された。最終報告は政府に提出される。

 最終報告では、OISTは産学連携に向け、ベンチャー企業の創出や研究から起業につなげる学内支援制度などを整えていることから一定の評価がありつつも、「今後の具体的な戦略が明らかではない」と課題も指摘された。

 検討会は、世界的な論文データベースに掲載された国内外の研究機関の論文数や引用数を分析した。OISTの研究力は世界第2グループに位置すると判断。第1グループは米スタンフォード大や米マサチューセッツ工科大など世界の一流大学で、第3グループは東京大など日本の有力研究大が位置する。将来的には第1グループを目指すべきだとして、「世界の中で存在感を出していくためには、規模拡充が必要」とした。

 委員の一人で科学ジャーナリストの瀧澤美奈子氏は「世界的なレベルの大学は分野の広がりがあって、そこから新しいものが生まれる。規模と研究の質を維持した上で、拡大の方向にいくべきだ。国が財源を担保することが非常に重要だ」と話した。