沖尚エース當山、12K完封 手術乗り越え大舞台で快投<夏の甲子園>


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2安打無四球12奪三振で阿南光を完封した沖縄尚学の當山渚=16日、兵庫県の阪神甲子園球場(喜瀬守昭撮影)

 白球を変幻自在に操る左腕の快投が光った。沖縄県勢の甲子園通算100勝が懸かる大事な初戦。先発の當山渚は「立ち上がりは3人で絶対抑える」と左飛、二者連続の空振り三振でぴしゃりと抑える有言実行で波に乗った。「ずっと投げてみたい場所だったのですごくうれしかった」。高揚する気持ちを胸にマウンドさばきは冷静だった。ゆったりとしたフォームから内角低めの直球に、スライダーや緩いカーブなどで緩急を付け、四死球はゼロで被安打2の完封。最後の打者をスイングアウトに仕留めると、硬かった表情に笑みがこぼれ、小さく拳を握った。

 昨秋の県大会は「1」を背負ったが、初戦の前日に腕の不調で離脱。手術を受け、約3カ月はボールも触れなかった。「(チームへの)申し訳なさと情けなさが一番あって、どうしていいか分からなかった」

 同じ左腕エースで、1999年の選抜大会で県勢初の甲子園優勝を経験した比嘉公也監督から「焦るな。一日一日を大事にしろ」と助言をもらい、投げられない期間は走り込みや下半身のトレーニングなどひたむきに努力を重ね、夢の舞台で花を咲かせた。

 「素直に完封はうれしいけど、次もある。きょうの課題を振り返って臨みたい」。まだまだここで終わるつもりはない。県代表のエースとして、甲子園で新たなページを刻み続ける。

 (上江洲真梨子)