コロナ関連の火葬が急増 南部2カ所で既に前年度超え 中部から受け入れ続く


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南斎場

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、亡くなる人が急増して火葬場がひっ迫している。本島南部の2カ所の公営火葬場では7月下旬ごろからコロナ関連の火葬が増え、2021年度は8月15日までの5カ月足らずで既に20年度の累計を上回った。特に本島中部でコロナ関連の死亡者が多く、その受け入れが相次いでいるという。コロナの火葬は時間帯が限られるため、4~5日待ちの状態が続く。

 本島南部や離島の15市町村でつくる「南部広域市町村圏事務組合」が運営するいなんせ斎苑(浦添市)と南斎場(豊見城市)では、コロナに感染して死亡した遺体の火葬を午後3時前後の時間帯に扱う。

 葬儀業界では「3時火葬」とも呼ばれ、もともと一般火葬以外の改葬や戦没者遺骨などが対象だったが、コロナ感染者の遺体も一般火葬とは分けてこの時間帯の火入れとなる。

 「3時火葬」はいなんせで1日3枠、南斎場で2枠あるが、7月下旬ごろからコロナ関連の火葬の依頼が増え始めた。20年度1年間はいなんせ56件、南斎場46件だった取り扱いが、21年度は4月1日~8月15日でいなんせ104件、南斎場59件と既に前年度を上回る。

 増加の一因となっているのが、公営火葬場が少ない本島中部からの受け入れだ。いなんせ、南斎場のどちらも南部広域圏の施設だが、県内有数の規模を誇り、日常的に中部からの利用者が一定割合を占める。

 コロナ関連の火葬についても、南斎場では21年度59件のうち、51件(86%)が中部など南部広域圏外の利用者だった。「中部からの受け入れで5日待ちもある。8月に入ったとたんに一気に増え始め、(依頼が)どんどん来ている」。南斎場の担当者は対応に追われる現状をそう説明する。

 いなんせも21年度の半数以上の55件を南部広域圏外からの利用者が占める。いなんせの担当者は「南部広域圏内の市町村が優先の施設とはいえ、現下の状況を踏まえれば受け入れざるを得ず、南斎場と調整しながら対応している」と語った。