巣ごもりにバナナ 輸入額過去最高の12億円 ブームも消費後押し


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 沖縄地区税関は18日、2020年の県内のバナナ輸入について、輸入量が前年比4.9%増の1万1473トン、輸入額は同6.3%増の12億3493万円と、数量、金額ともに1972年の日本復帰以降過去最高を記録したと発表した。バナナジュースなどのブームに加え、新型コロナウイルスによる巣ごもり需要で、調理が必要なく食べられる手軽さや、価格も手頃なことから消費が拡大したという。

 全国的に、バナナ輸入が自由化された1963年に第1次ブームが起こり、朝食にバナナを食べるダイエットが流行した2009年に第2次ブーム、健康効果への注目やバナナジュースが話題になった20年に第3次ブームが巻き起こった。県内では、2次ブームで09年に1万923トン、7億7322万円を輸入し、19年には1万937トン、11億6140万円と当時の過去最高を記録した。

 輸入量を月別で見ると、全国ではバナナの関税が安い4~6月に輸入が増える傾向がある。一方、沖縄では、1979年以降の月別平均輸入量は4月が875トンと最多で、次いで8月が806トンとなっている。

 税関が那覇青果物卸商事事業協同組合にヒアリングしたところ、4月の清明祭、8月ごろの旧盆に合わせてお供え用の需要が高くなることから、入荷を増やしているという。

 国・地域別では、復帰翌年の73年以降、フィリピンが数量、金額ともにトップを占めている。2020年は、数量ベースで97・3%がフィリピン産だった。一方で、近年では消費者の好みが多様化していることもあり、味が濃厚で甘味の強いエクアドル産も2.7%輸入されている。

 総務省の20年の家計調査(総世帯)では、那覇市のバナナ購入金額は4848円で、全国平均の4387円を上回っている。沖縄にとってバナナは身近でなじみ深い存在と言える。沖縄地区税関の担当者は、業界へのヒアリングから「新型コロナの収束後も外食産業の回復や、マラソン大会や部活のようなスポーツ大会での消費が戻ると見込まれるので、今後も緩やかながら輸入は増加傾向で推移すると期待される」と話した。