自らの性と葛藤、「死にたい」と思った日々も トランスジェンダー当事者の体験を絵本に


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制作を進めている絵本「せかいにひとりだけのぼく」のイメージ(提供)

 関西を拠点にトランスジェンダーの当事者として講演活動などに取り組む那覇市出身の竹紫春翔(ちくしはると)(本名・大城春香)さん(32)=神戸市=が8日、自らの性への葛藤やカミングアウトするまでの思いなどの実話をつづった絵本「せかいにひとりだけのぼく」の制作を目指し、クラウドファンディングを始めた。実体験を紹介することで、LGBTQ(性的少数者)をはじめ、人との違いに悩むすべての人へ「個性を大切にしてほしい」とのメッセージを届けたいとしている。

トランスジェンダーとしての実体験をまとめた絵本の制作に取り組む竹紫春翔さん

 幼少期から自らの性に違和感を持っていた竹紫さん。高校までは県内の高校野球部で女子部員として活動し卒業後は県外で女子プロ野球を目指すなど、野球を15年間続けた。心と体の性の不一致について誰にも言えず悩み、学生時代にはいじめに遭い「死にたい」と思う日々も経験した。

 苦しい経験を経て、25、26歳のころに母へ自らの性について打ち明けた。その時、母が竹紫さんの個性を大切に受け入れてくれたことで、前向きに変化していったという。

 絵本は絵本作家のHaiji(ハイジ)さんと一緒に制作する。目標額は120万円で期限は10月11日。絵本の出版が実現したら沖縄を含め全国の小中学校、図書館へ寄贈する予定だ。

 現在は「オニイタレント・講演家」として中学校などで講演する竹紫さんは「LGBTだけでなく、いろんな悩みを持つ、一人でも多くの人たちの生きる希望や勇気につながればと思う」と思いを語った。クラウドファンディングのサイトはhttps://camp-fire.jp/projects/view/452364