粘り見せるも悲願かなわず ハンド女子、那覇西が惜敗で準V 真骨頂の堅守速攻光る 高校総体


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那覇西―名古屋経済大市邨 後半残り時間約15秒、同点弾を放つ那覇西の砂川茉穂=福井県営体育館(高辻浩之撮影)

 延長戦につなぐ試合終了まで残り2秒。最終盤で2点差を追いついた那覇西だったが、名古屋経済大市邨のエースが放ったロングシュートがゴールに吸い込まれた。瞬間ブザーが鳴り響き、那覇西の夏が終わった。高校に入る前から掲げてきた悲願の全国制覇に一歩届かなかった。

 3年の主力のほとんどが中学のころ県代表として全国で戦った。この時から高校で全国制覇を果たそうと、那覇西に進んだ。昨年の県総体では現3年が既にチームの中心となり、優勝候補に挙げられながら準決勝で敗退する悔しさを味わった。時には主力のけがにも苦しみながら、はい上がってきた。

 大一番だけ着けるという伝統の黄色の鉢巻きで試合に臨み、先輩たちがつないできた真骨頂の堅守速攻が決勝でも光った。長身の選手がそろう相手にもひるまない堅い守りから縦パス一本。反応した両サイドの上間望愛と島袋心花が計7得点し、チームに勢いをもたらした。

 主導権が目まぐるしく変わり続けた最終盤。1点を追う中でのタイムアウト明け。相手の攻めをアウトに押し出し、サイド攻撃のループもGK比嘉楓が捕球。攻めに転じてパスを受けた砂川茉穂が「シュートにいく気持ちしかなかった」と1人かわして、西田ゆいのブロックで空いたスペースから同点弾をねじ込み、粘りを見せた。

 わずか1点に泣いたが、市邨の指揮官も「どっちに転がってもおかしくなかった。運ですね」と評する僅差の勝負だった。

 17点目を決めた砂川は「最後まで諦めないという気持ちがあったからできた。このメンバーと監督がいたからここまで頑張れた。那覇西で本当に良かった」と最後は仲間たちと笑顔でたたえ合った。

 (謝花史哲)


2年高山 起用に応え躍動

那覇西―名古屋経済大市邨 後半、12点目の逆転ゴールを決める那覇西の高山星音(高辻浩之撮影)

 全国総体からスタメン起用された2年の高山星音が自身初の全国決勝という大舞台で躍動した。この日チーム最多タイの4得点。試合を重ねるごとに成長した新鋭が、潜在能力を発揮し、比嘉律監督やメンバーの期待に応えた。

 1点をせめぎ合う展開が続く後半20分すぎ。2連続失点で逆転を許して残り7分。「ミスをしても自分たちが守るから」。頼もしい先輩たちの言葉を背に、積極的にゴールに迫った。
 一度は厚い守備に阻まれるも後ろから駆け込んだ砂川茉穂にボールを渡す。すぐに攻撃態勢を整え、スペースに駆け込む。つぶれ役になった砂川の動きに合わせてフリーとなった高山はラストパスをゴールに突き刺した。

 再び1点リードされるも攻撃ターンでボールを受けると、左45度からロングシュートを決める勝負強さも見せつけた。

 中学では地区予選止まりが多く代表経験もなかった。それでも強豪の那覇西に憧れ飛び込んだ。主軸の主将のけがで急きょスタメンに選出され「とても怖かった」が「先輩を信じてやるしかないと思った」。

 指揮官も目を見張る成長ぶり。高山は「全国レベルのチームでプレーさせてもらうのはすごく貴重なこと。自分たちの代も先輩たちみたいに粘り強く那覇西らしいチームにしたい」と再び全国の舞台に戻ってくることを誓った。

 (謝花史哲)


 全国高校総合体育大会・北信越総体第28日は21日、福井県などで8競技が行われ、ハンドボール女子の那覇西が決勝で名古屋経済大市邨と対戦し、17―18で敗れた。試合は一進一退の攻防を繰り返すせめぎ合いが最後まで続く。最終盤に同点に追いついたが、残り2秒でシュートを仕掛けた市邨の攻撃を防げなかった。準優勝は13年ぶり2度目。県勢としては2018年の浦添商に続き4度目の全国2位となった。