大城、八回2死「抜けてくれ」
「なんとか食らいついていく」。八回2死で打順が回った6番・大城稜雅はここまでセカンドゴロ、空振り三振。「次は絶対に初球から行こう」と打席に立った。
その通りに直球を鋭く振り抜くと、「抜けてくれ」と念じたという打球は中前へ転がった。終盤でようやくのチーム初安打。一塁まで全力疾走しても表情は硬いままだった。「次の打者がつないでくれ、と願ってました」。1点につながる安打を祈ったが、生還を果たすことはできなかった。ただ、終了後は「最後の最後に甲子園に来られて素直にうれしい」とさわやかな表情。ともに汗を流したナインと夢の舞台でプレーできたことが誇らしげだった。
仲宗根、遊撃で再三當山支える
マウンドの當山渚を堅守で支えた。遊撃手の仲宗根皐が初回から好フィールディングを見せた。一回1死二塁で迎えた打者は、岩手大会の全5試合で本塁打を放った強打者。中前へ抜けそうな強い打球を低い姿勢で捕球すると、動作も最小限に三塁へ送球し、進塁を許さない。二つの併殺にも関わった。
「打てるぞ」。最終九回の攻撃。観客が制限された甲子園に仲宗根の声が響いた。最後まで鼓舞したが、自身を含めて打撃では結果を残せなかった。
練習ができない時期も主将としてチームを支えてきた。「この状況で甲子園に来られたことに感謝。チームワークを生かし、一丸となれた」。言い切った表情は晴れやかだった。