甲子園の空気、胸いっぱい…高校女子野球、優勝の瞬間は宮城もショートで


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神戸弘陵の宮城夢叶(提供)

 第25回全国高校女子硬式野球選手権大会の決勝が23日、初めて兵庫県西宮市の甲子園球場で開催され高校野球の聖地に新たな一歩が刻まれた。投打がかみ合った神戸弘陵(兵庫)が4―0で高知中央を下し、5年ぶり2度目の優勝を手にした。神戸弘陵は二回、連打で1死一、三塁から7番・安藤のスクイズで先制。その後も連打で畳み掛けて一気に3点を加え、最後までリードを保った。守りでは、先発の日高と安藤の2年生バッテリーが落ち着いた投球で進塁を許さず、相手に主導権を握らせなかった。神戸弘陵3年の宮城夢叶(ゆめの)=上本部中出、沖縄ガールズ=は最終七回表の守備で遊撃手として守備に入り、初の甲子園でプレーし、優勝メダルを手にした。

宮城 喜びと高揚感 ナインを声でもり立て

 高校3年最後の夏。宮城夢叶は小さい頃から夢見た甲子園の地に立った。聖地でプレーできる喜びや高揚感で試合開始前から表情は明るく、そわそわが止まらない様子。ベンチスタートとなった宮城は、高ぶる気持ちを落ち着けるように甲子園の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
 試合が始まると表情はきりっと引き締まった。ベンチから身を乗り出して「ナイスピー」と奮闘する仲間を声でもり立てた。起用されたのはリードする最終回の守り。遊撃に入った。
 優勝まで残り3人。七回から登板のエース島野愛友利が直球先行のテンポ良い投球であっという間に三者凡退に取る。補殺が付く守備機会はなかったが、優勝の瞬間を野手としてグラウンドで迎えた。
 最後の打者は左飛でゲームセット。「よっしゃー」と歓声を上げ、マウンドに駆け寄って人さし指を高く掲げた。贈られた優勝メダルを仲間に掛けてもらい、うれしそうに見つめていた。
 2014年から女子を率い、グラウンドで3度宙に舞った石原康司監督は「甲子園でプレーする以上は、優勝したいとの思いでここまでやってきた。選手が本当によく頑張ってくれた」。最後の夏を、全国制覇という最高の形で終えた。

※注:神戸弘陵・日高の「高」は旧字体