高齢者の見守りAIで Wi-Fi使って睡眠時の呼吸など検知 3市で実証試験


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共同実証試験について協定を締結する(左から)おきでんCplusCの仲程拓社長、桑江朝千夫沖縄市長、松川正則宜野湾市長、山川仁豊見城市長=24日、那覇市のおきでん那覇ビル

 沖縄電力のグループ会社おきでんCplusC(シープラスシー、宜野湾市、仲程拓社長)と沖縄市、宜野湾市、豊見城市は24日、最先端技術を使って1人暮らしの高齢者を見守る共同実証試験を10月に開始すると発表した。センサーが検知したデータなどを、AI(人工知能)で統合、分析して家族や自治体に通知する。高齢者や家族の安心・安全を高め、行政の負担軽減につなげることを狙う。

 おきでんCplusCは、「みまもりサービス」を提供するために沖電などが出資して5月に設立された。同サービスは、米オリジンワイヤレス社の技術を活用。無線Wi―Fi(ワイファイ)機器を住宅内に設置し、電波の反射によって活動量や睡眠時の呼吸などを検知する。検知データに加え、スマートメーターを通じた電力使用のデータや気象情報をAIが分析し、家族や自治体に対して定時のレポートや、異常が生じた場合には通知する。

 カメラや警報装置などの設置が不要で、コストの低減とプライバシーへの配慮などが両立できるという。

 実証試験は、10月から3市の単身高齢者を対象に、最大600世帯で実施する。約1年をかけて、AIの判定精度向上などを目指す。3市が導入している地域BWA(広域帯無線アクセスシステム)を活用し、ネット環境のない世帯でも対応できる。

 単身高齢者の見守りは、地域包括支援センターなどが訪問や電話などで行っている。デジタル機器によるサービスの導入によって24時間体制で安全確認が可能になることから、負担の軽減が期待できる。

 桑江朝千夫沖縄市長は、「多くの人が見守りしてくれているが、人的パワーから毎日のように訪問するわけにもいかない。(今回のサービスで)相当な効果が上がると思う」と話した。

 仲程社長は「高齢者世帯だけでなく、新型コロナウイルスの自宅療養や宿泊施設療養、共働き世帯での子どもの見守りにも活用できると考えている」と、今後の展開方針を話した。