新たな沖縄振興、一括交付金の継続明記 内閣府「基本方向」 公庫は引き続き検討


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
河野太郎沖縄担当相

 内閣府は24日、次年度以降の沖縄の新たな振興策について「基本方向」を発表し、存廃が焦点となっていた一括交付金制度の継続を初めて打ち出した。一方、県が存続を要望している沖縄振興開発金融公庫は「引き続き検討」として、存否を明確にしていない。「基本方向」は、来年の通常国会に提出される新たな沖縄振興に関する法整備に向けた骨子と位置付けられる。米軍基地を英語教育に活用する案を盛り込んだほか、離島振興と安全保障との関連をにじませるなど、沖縄振興の方向性に変更点も打ち出した。

 基本方向は、全国最下位の1人当たりの県民所得や、子どもの貧困など沖縄の問題を例示しつつ「法的措置を講じて沖縄振興を推進していく必要がある」として、振興策を推進する意義を示した。河野太郎沖縄担当相は同日の会見で、新たな沖縄振興の法整備について「2022年の通常国会に向けて法案の提出の準備を進める」と述べた。

 沖縄独自の制度として2012年に新設された一括交付金制度は、「政策課題に沖縄が主体的に対応するための財源」として、継続の方針を初めて明記した。ただ、「有効活用に留意」と施策効果の検証も求めた。県北部と南部を結ぶ、公共交通機関の整備が必要として「鉄軌道の新設」「バス専用レーンの活用」と具体案を調査検討するとした。

 生活条件の不利性を抱えているとして離島振興の取り組みを推進する姿勢を示した。一方で、「領海や排他的経済水域の保全」のための離島の役割にも触れており、安全保障と離島振興の関連をにじませた。

 菅義偉首相の諮問機関「沖縄振興審議会」が23日までにまとめた最終報告では示されなかった沖縄振興開発金融公庫について、「地域経済の状況も踏まえ、引き続き検討していく」との表現にとどめた。一方、酒税の軽減措置は「5年および10年以内に段階的に廃止する」と見直しの方向を強調した。